熊本教育ネットワークユニオン

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最低賃金引上げ関係―3紙の読み比べ―  

毎日新聞

社説:最低賃金の引き上げ それでもまだ低い水準だ - 毎日新聞

25円の上げ幅は、日額から時給に変更した02年度以降で最大の伸び。「全国平均1000円」の実現に向け一歩前進したことにはなる。

フランスやオーストラリアの6~7割の水準。フルタイムで働いた人の年収は160万円程度に過ぎない。

最賃の引き上げは必要だが、それより少し高い賃金を得ている非正規雇用労働者の賃上げに直接つながるわけではない。働いても生活が苦しい「ワーキングプア」を解消するためには、従業員全体の賃上げに波及させる必要がある。

 

 

河北新報2017年7月28日)社説

社説|最低賃金引き上げ/継続へ「ひずみ」の是正を | 河北新報オンラインニュース

政府が目標とする欧州先進国並みの水準「時給千円」には、まだまだ及ばない。

働く人の4割を占める非正規労働者らの賃金の底上げにつなげ、格差の是正と個人消費の拡大を図るためにも、この流れを継続していける環境の整備に努める必要がある。

重大な「ひずみ」の現実を直視せねばならない。
一つは、目安額決定の仕組みが内包する問題と絡む地域間賃金差の拡大である。目安額は、所得や物価などを基に都道府県をA~Dの4ランクに分け示される。今回も上げ幅は東京を含むAが26円で、宮城が入るCは24円、東北5県が含まれるDは22円。AとDとでは毎年3、4円ずつ賃金差が広がる。12年度に197円だった東京と岩手の賃金差は、16年度(東京は932円、岩手は716円)に216円へと拡大している。これでは若者が大都市に流出し、地方の人手不足に拍車がかかりかねない。Dランクの県は今回、目安通りに改定されても700円台前半にとどまる。月給にすれば12万円程度。生活を安定的に維持するには、なお厳しい水準と言わざるを得ない。下位ランクほど手厚い引き上げ策が要る。現行制度の見直しを含め、地域間格差の是正に向けた議論は不可欠だ。もう一つ、見逃してならないのは、中小・零細企業にとって、人件費の負担がかつてないほど増していることだ。厚労省の調査で最低賃金額より低い水準で働いていた労働者の割合が16年度は2.7%と、過去10年で最多だったという。違法であり、あってはならないことだ。だが経営体力の弱い企業が毎年の引き上げについていけなくなっているのだとしたら、問題だ。

 

 

朝日新聞

(社説)最低賃金 底上げを早く広く:朝日新聞デジタル

今年度の最低賃金引き上げの目安額(時給)が決まった。全国平均では25円で、時給は今の823円から848円になる。時給で決めるようになった02年以降で、最大の増額。

主要国の中では1千円を超えるフランスドイツなどと比べてまだまだ見劣りする。経済が順調で人手不足感が強い今は、引き上げの好機。もっとペースを早めたい。

最低賃金自体も高い大都市部が平均を押し上げており、むしろ地方との格差は広がる傾向にある(最高額の東京(現在は932円)とDランクで最低額の宮崎、沖縄(同714円)の差は現在218円だがこの差が222円に広がる)。