『インドネシア9.30クーデターの謎を解く(千野境子 草思社)』を読む
1965 年10 月1 日、ジャカルタで陸軍左派によるとされるクーデターが発生しました。クーデターを制したスハルトはこれを機会にインドネシア共産党へ大弾圧をくわえました。当時のインドネシア初代大統領スカルノは失脚し、クーデターを鎮圧したスハルトが大統領へ就任します。これは「インドネシア9・30 事件」とか「インドネシア9・30 クーデター」と呼ばれています。この事件へのCIAや中国の関与はどうであったのかを話題にした本です。
まず、本をもとに年表をつくりました。
1949 中華人民共和国樹立
1950 朝鮮戦争
もし彼ら(フランス)が最後まで面倒を見ず、インドシナが共産主義者
の手に渡ればアジア太平洋における勢力分布はそれにつれて変動し、
我々とあなたの世界戦略上の立場に与える究極の影響は恐るべきものに
なるでしょう。そして、あなたにも私にも受け入れがたいことと承知し
ております。そうなればどうしたらタイ、フィリピン、ビルマ、インド
ネシアを共産主義者から守れるでしょうか。そういう事態にさせるわけ
にはいきません。(H.キッシンジャー『外交』下巻)
アイゼンハワーとダレスの時代に、アメリカにとって好ましくない指導者の失脚
イラン 1953年 モザデク政権(親米軍部クーデターで転覆)
グアテマラ 1954年 アンベルス大統領(ホンジュラスから侵攻の
アルマス大佐(米の支援)による追放)
ラオス 1953年パテト・ラオ(ラオス愛国戦線)と中立政府、右派軍部
(米支援)の三つ巴。
1954 米 東南アジア条約機構(SEATO=パキスタン、フィリピン、タイ、
米、英、仏、オーストラリア、ニュージーランド)発足の準備 ←→ 中
国が厦門から台湾への砲撃
1955.4 バンドン会議(AA会議 アジア・アフリカ会議)独立後間もない30カ
国。中国も招かれた(周恩来が代表)←アメリカの恐れ(反米主義の会議
となること) バンドン(インドネシア)会議の成功はスカルノを世界の
指導者へ
AA会議19日後 アイゼンハワー:CIAへインドネシア左傾化を防ぐため「あらゆる実行
可能な秘密手段」を許可
1955.9 インドネシア独立後初めての総選挙○内の数字は順位
①国民党(22%) ②マシュミ党(18%)=米が期待したイスラム改革派
政党(CIAがこの選挙に100万ドルつぎ込む) ③ナフダトール・ウラマ
1955.10 ゴ・ディン・ジェム政権(南ベトナム)
1956~1958 スマトラ、セレベスでの地方軍管区軍人反乱(CIAが関与①~③)
①インドネシア全土の反スカルノ軍司令官への武器その他の軍事援助
②スマトラ、セレベスでの反乱軍将校の「決意・士気・団結を高める」
1956 スマトラ島の反乱。CIAは反乱軍モールディン・シンボロン大佐に5万ド
ル相当のルピアや武器弾薬を供与(フィリピンから)。
1957 インドネシアスラウェシ島でフェンチェ・スムアル中佐が反乱(プルメス
タ)、軍政下に。
1958 インドネシア共和国革命政府PRRIの樹立(反中央政府つまり反スカルノ
=親米=米肩入)
スカルノのインドネシア軍(士気の高い=独立後もオランダ軍と戦い鍛え
この時、米はインドネシア軍が反共であることを理解し方針変更
⇒ インドネシア軍からのアメリカ留学・合同訓練の場を増やす。
親米・反共軍人の養成へ(53年~65年まで2800人が米で訓練。陸
軍将官の17~20%)軍事援助62年~65年の4年間で4千万ドル。
1965.2.7 米軍北爆開始
6月 米地上軍17万5千人投入 1年後には54万2千人
7月 在インドネシア大使にマーシャル・グリーン
1965 将軍評議会(存在が不明=将軍への推薦のための人事評議会 陸相が議長)が
10月5日の健軍記念日以降んい何らかの行動か?(華人チョウシンモの推察(回
想))
PKIは「攻撃されるのを待つか先に攻撃するか」(シャムカラムサマン
軍事法廷にて)
マレーシア政府筋(日本の外交官へ)「CIAがインドネシア軍のレターヘ
ッドのついた用紙で共産主義者一掃のの文書を偽造、共産主義運動活動家の
目に届くように流した」「PKIはまさか偽造とは思わず、9.30事件が起こ
り、失敗により、共産党は壊滅、スカルノもスハルトへ交代、CIAの思惑通
りとなった・・」
CIAの言い分「われわれは波に乗っただけ」
そして、9.30事件
事件に関与したとして共産主義者、華僑に対する集団虐殺。20世紀最大の
虐殺の一つともいわれ、50万人とも、300万人ともされるその数は正確には
わかっていません。NHKで2015年に放送がありました。
http://megalodon.jp/2015-0610-1011-8/www3.nhk.or.jp/news/html/20150610/k10010108971000.html