沖縄タイムス 『社説』2018年10月28日
(社説内アンダーラインは当ブログ編集者によるものです)
県民投票条例が、県議会本会議で与党の賛成多数で可決され、成立した。
「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」というのが正式な名称である。
県は来年4月末までの実施を念頭に、「県民投票推進課」を新設し、広報活動や市町村との調整に乗り出す。
1996年9月8日に実施された県民投票は「米軍基地の整理縮小と日米地位協定の見直し」という抽象的な内容を問うものだった。
今回はそのものずばり、辺野古埋め立ての賛否を問いかけており、政治的な影響は前回と比較にならないほど大きい。
県が早急に取り組まなければならないのは、県議会野党への働きかけと自治体への協力要請である。特に態度を保留している自治体に対しては丁寧な説明が必要だ。
野党の自民、公明は「賛成」「反対」のほか、「やむを得ない」「どちらとも言えない」を加えた4択の修正案を提出し、否決された。
「2択では判断できない」という市民の声があるのは確かだ。ここが県民投票の難しいところでもあるが、もし「やむを得ない」を選択肢に加えた場合、どうなるか。
「反対」は一つだけなのに、「賛成」と「やむを得ない」がいずれも賛成と分類されることになり、公平とはいえなくなる。
県民投票を実施する以上、どのようにでも解釈できる結果ではなく、分かりやすい結果が出るような工夫が必要である。
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投票が実現するまでには、市町村の非協力や団体によるボイコット運動、ネット上のデマなど、さまざまな障害が予想される。乗り越えるべきハードルは高い。
県の埋め立て承認撤回に対し、沖縄防衛局は国交相に対し、行政不服審査法に基づいて審査請求と執行停止を申し立てた。
県民投票が決まったことを受け、国交相が執行停止の決定を急ぎ、土砂埋め立て工事を急ピッチで進める可能性がある。県民投票を「無駄」だと思わせ、投票の結果を「無力化」するためだ。
松川正則宜野湾市長は26日、玉城デニー知事を訪ね、「普天間の固定化は絶対にあってはいけない」とくぎを刺した。県の撤回処分に対する反論の文書で政府が強調したのもやはり、普天間飛行場の「危険性除去」である。
県民投票にあたって政府が「普天間固定化の脅し」をかけるのは間違いないだろう。
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県知事選が終わったばかりだというのに、なぜ県民投票が必要なのかとの声もある。 県はこうした疑問の声を正面から受け止めなければならない。県民投票は、対応を誤れば逆効果を招きかねないリスクを伴う。
選挙疲れと基地疲れが残る中で、どう県民にアピールするか。玉城デニー知事にとってはまさに正念場といえる。
成功の鍵は、草の根からうねりを作り出すことだ。その声を全国に押し広げ、全国規模で問題を考える機会にすることが何より重要である。
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