熊本教育ネットワークユニオン

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風の山にて

 風の山にて

    俵山は風の山である。だが名物の風車は著しく損傷して、羽根が回っているのは二基だけだった。残り十一基は土台から撤去中だ。登山口の警備員は「撤去するのはうち(の会社)だけで、ほかの十基は修理のようです。」
    中腹から周りの山々を眺めてみる。やはり大地震の爪痕があらわであった。掻きむしられた山肌が外輪山にも五岳にも。いかにも哀れを誘う光景である。山麓の村では完全復旧にまだ長い時間がかかるだろう。幸いなことにここ俵山では、山体が崩壊するような大規模な崖崩れは起こっていないようだった。少なくとも登山路は、二年前と変化はなかった。平日にも関わらず、十数人の登山者とすれ違った。
        戯れて通せんぼする芒かな
        風の色芒が丘で銀となり
        天を仰ぎ天より碧し松虫草
    だが山々はいつか復活するだろう。いな寧ろ、造っては壊し、また造っては自ら壊すという営みをこそ、阿蘇火山は繰り返してきたのではなかったか。今、大きな空間の中に悠然と居座っている峰や稜線を見つめていると、人の一喜一憂など寄せ付けぬ、巨大な精神のようなものが伝わってくるように思われた。阿蘇にはやはり、「万代不易」
という形容がふさわしい。
        秋うらら午睡に耽る五岳かな
        天高し万代不易の阿蘇の山
    は
      (2017年秋/S)

 

(p.s.)2021年現在、風車は快調に回っています。
    先日、阿蘇山がまた噴火しました。早期の沈静化とともに農業、観光業等関係者に被害が最小限に収まりますよう祈念します。

 

▶︎私たちの組合は地方公務員法が適用されていない労働者がひとりでも加入できます。ただし、地方公務員法が適用される非常勤者(会計年度任用職員)も当面加入できます。▶︎教育と関係ある仕事であったら相談可能です。ご家族の相談でもよいです。また「教える」仕事でなくとも加入できます。