熊本教育ネットワークユニオン

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「岩宿の発見」・・・五十年前の文庫本

 

「岩宿の発見」・・・五十年前の文庫本

▲ベッドに横になると本を手にする。以前は夢中になって睡眠不足という事態も引き起こしたが、さすがに今は、短時間で睡魔の前に玉砕する。おおかたは購入したてを読むのだが、時には、「もう一度読んでみませんか」と書棚からすり寄ってくる本がある。▲たとえば遠藤周作の「沈黙」とか夏目漱石の「三四郎」、司馬遼太郎本、山崎豊子本とか、ちょっと「らしくない」ものでは「ハッブル望遠鏡の世界」や福岡伸一ハカセの「生物と無生物の間」などには、何度も声をかけられた。▲四月になって熊日に連載が始まった村上恭通氏の「鉄の歴史を追い求めて」を読むうちに、一冊の本が脳裏に浮かんだ。相沢忠洋氏の「岩宿の発見~幻の石器を求めて」だ。高校三年の日本史の(多分、授業はじめか二時間目の)授業で、担当の岩本税先生が「是非読んでみろ」と勧めた本だ。▲当時、本を買う金は持っていなかったので、たぶん図書室で借りて読んだのだと思う。奨学金3,000円のうち、授業料1,500円、電車の定期券が700円で、残り800円が、「それなりに」自由になる金だったから。▲寝室の本棚にあるその「岩宿の発見」は文庫本で、昭和48年1月15日第1刷発行とあるから、学生になった後に、多分、学生協で購入したと思われる。すいぶん日焼けして、あちこちにシミがあるが、久しぶりに手に取ってみて、高校時代にワクワクして読み進めた記憶がよみがえってきた。▲「赤城おろし」の吹く山麓で石器を追い求めてきた相沢青年が、当時の常識では存在しないはずの「関東ローム層の中にある石器」らしいものを発見した。それが「日本の旧石器文化研究」の嚆矢であったということに感動し、太古の昔に思いを馳せた。▲読書は、かくして、自分を未知の世界に誘ってきた。しかし、最近の世相は、自分を現の世界に引きもどし、「その手の本」を読めと脅迫する。あるいは、たゆたう思索をなかなか許さない。▲今夜も、パソコンの左に文庫本「相沢忠洋 岩宿の発見」を置いて、このブログを書いているが、テレビでは「ウクライナ侵攻」の映像が流れ、心は、「憲法記念日」の集会声明文やデモ横断幕を、「早ヨ」考えろと急かされている。

(とらうと)