侏儒の呟き(5)
○マスコミは連日、安倍元総理が凶弾に倒れたニュースを徹底して取り上げている。衝撃の事件であったが故に当然の傾向とは思うが、自分としてはまだ整理がつかず、論評する気にならない。何を書いても多くの論客の受け売りにしかならないだろう。薄っぺらな見方、皮相な見解を晒すだけなら、ほぼ思いつきでこの欄に書いてきた今までの自分と変わらない。
○ただし、政治家たちがこぞって「これは民主主義への挑戦だ」、「テロに屈してはならない」などと言っているのは滑稽である。現職の総理時代に平気で民主主義を破壊し続けたのが、ほかでもない安倍元総理その人だったのだから。それは国会や国民への、いわばテロ行為というべきものだった。
○この事件が起きる直前に、イギリスのジョンソン首相が退陣するというニュースが流れた。相次ぐ閣僚の反乱で、辞めざるを得なくなったというのが真相だ。さすがの豪腕も、国民の怒りと失望を取り返すことができなかったという図式に映る。事の発端は首相官邸でパーティを開いたことだった。コロナ下、国民に行動自粛を強要していた時だったというから、反発は激しかった。
○それにしても、50人もの重鎮が一斉に反旗を翻したというところが面白い。忖度ばかりで何一つ総理の疑惑を解決できなかった日本の閣僚や政治家たちは、これをどう思っただろう。これこそ国民の力の重さ、民主主義の尊厳を思わせる出来事ではないかと思う。
(熊本教育ネットワークユニオン・S)