熊本教育ネットワークユニオン

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ロシアのウクライナ侵攻から半年

 ロシアのウクライナ侵攻から、半年が過ぎたが、依然先の見えない状況が続いている。先日、破壊されたロシア戦車を展示している画像が紹介されていた。私はこの報道に少し違和感を覚えた。そもそもロシアはなぜ侵略戦争という選択肢を選んだのだろうか?もちろん残虐行為や原発への攻撃などとうてい許させるべきではないが、この戦争以前に起こったクリミア併合に至る経緯を含めて考えてみると、今回の戦争をウクライナ側の正義とプーチンの正義のぶつかり合いと捉えられないだろうか?

 この構図から太平洋戦争をみてみると、日本側からは自存自衛の戦いと相手国からは侵略戦争ということにはならないだろうか?当初日本は自存自衛の戦いという名で開戦したものの、予想以上の戦果にやがてアジアの解放=大東亜共栄圏という美名を先の戦争にあたえて戦った。植民地を奪われた列強諸国は、ファシズム打倒を掲げて、対侵略戦争として戦う。やがて戦火は拡大し、民間人を標的とした日本本土空襲が始まる。そして原爆投下という悲劇をへての終戦。この戦争での民間人の犠牲者は、過去最大の数となった。もっとも、無差別爆撃を最初に行ったのはナチスドイツと日本なのだが。原爆の悲劇の大きさから、その事はあまり語られてこなかったように思う。

 今回のウクライナ戦争はどうだろう?プーチン侵略戦争の非道は語られても、クリミア併合に至る両国の動きはあまり語られていないような気がする。これだけ世界から叩かれることが予想されていながらも、何故プーチンは開戦に踏み切ったのだろうか?ロシア国内では、以前プーチン支持の声は大きい。プロパガンダのせいだとばかり言えるのだろうか?ロシアからみれば、今回の戦争以前にNATO加盟を匂わせていたゼレンスキー政権は、譲れない線を越えたと見たのではなかろうか?

 先日の台湾沖での軍事演習は、日本側から見れば、力による現状変更と思える。しかし中国から見れば、台湾独立を指示するようなアメリカと日本の動きは、ウクライナNATO加盟を阻止したいロシアの武力行使と重ならないだろうか?一旦戦争が始まると対話の道は閉ざされるのは、今回のウクライナ侵攻や過去の戦争の例を見ても間違いない。台湾海峡有事は起こってはならない戦争だ。ウクライナ戦争との違いは、日本が攻撃されたら自動的に核大国同士の米中戦争になるという極めて危険な構図であることである。核戦争というあってはならない事態が迫っている。

 過去のいたましい戦争を経験した我々の先人は、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄することを選んだ。今こそ武力増強を図るのではなく、この先人の知恵を生かす努力を図るべきではないだろうか?日中国交回復50周年、沖縄返還50週年の今年。時計の針が逆戻りしてるように思えるのは、私だけだろうか?   (I)

編集者:「今回の紛争に関しての私見をまとめてみました」という前書きで投稿がありました。掲載します。