熊本教育ネットワークユニオン

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45年の質量

45年の質量

 

以下、結婚式の挨拶があれば引用しようとして実現していない詩。

 

二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい

立派すぎることは

長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧を目指さないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には

色目を使わず

ゆったり ゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと 胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そして

なぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい

(吉野 弘 『風が吹くと』サンリオ 1977)

 

 この歳になって「今さら感」があって恥ずかしいが、今日は45回目の結婚記念日だ。御祝いは昨夜(ロマンティックとはほど遠い)焼き肉屋で済ませた。友人I氏は結婚翌年から毎年バラの花を贈っているのだそうで、度々「あんたも贈ったら絶対喜ばれるバイ」と煽るので、数年前から花束を贈ることにしている。花屋に行って「結婚記念日用の花束ですから、紅いバラを必ず入れて〇〇〇円で」と初めて注文したときは、やや恥じらいがあったが、最近はそうでもない。妻も喜んで受け取ってくれている(ように見える)。結婚一年目に「お忙しそうですが記念日は空けてあるのでしょうね」と問われて自慢げに見せた手帳の「12月9日」の欄に「結婚記念日」と記されていて、冷たいまなざしに慌てたことは記憶に新しい。子どもが生まれて、妻が仕事を辞めて・・・幾度かの転勤があって、家のことは任せっぱなしで、あれがあって、これがあって、話せないこともあって・・・「おはよう、行ってきます、ただいま、おやすみ」の挨拶と「晩酌」だけは欠かしたことがない日々。「もう45年かあ」と感慨深い。吉野弘の「なぜ胸が熱くなるのか 黙っていても 二人にはわかっているのであってほしい」境地はまだまだだが、45年という日々には、それなりの質量がある。

(2022年12月11日)

 

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