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西山太吉氏が語る「秘密保護法~その背景と問題点」

西山太吉氏が語る「秘密保護法~その背景と問題点」

 

 「特定秘密保護法」は国会や国民の声を無視し、2013年12月6日、参議院強行採決され可決成立した。翌年3月30日に結成された「秘密保護法廃止!くまもとの会」は、同年8月15日「敗戦の日」に、元毎日新聞記者「西山太吉」氏を招き講演会を開催した。300名の参加者は西山氏の体験とするどい洞察に基づく指摘に聞き入った。

 

 本日(2023年2月26日)の朝刊に、西山氏の逝去が報じられた。「沖縄密約とは何だったのか」今一度、当時の講演記録で振り返りたい。

 

<故西山太吉さんの講演要旨>その①(注は筆者)

 

文書の存在は「原告」が証明しなさい

 先日(注;2014年7月14日)最高裁が、私の「沖縄密約文書開示請求訴訟」に対して、「文書は不存在だ。高裁の判断は正しい。文書を開示せよというのなら、原告が文書の存在を証明しなさい。」という上意下達の判決を出しました。この最高裁の判決に機密保護法の主要なエッセンスがにじみ出ています。

(注;第一審の東京地裁杉原裁判長は「交渉相手のアメリカ側に三文書がある以上、当然、日本にもあるはずで、原告の主張は理解できる。被告が『ない』と主張するのであれば被告が合理的説明をする必要がある」と述べたのだった。)

 

三つの密約と外務省の秘匿

 沖縄返還時には三つの密約がありました。一つ目は、沖縄軍用地復元のための費用400万ドルを自発的に支払うことになっていた米国が全然払わないどころか、全額を日本からもらって、そのうち100万ドルしか復元にあてていないという密約。二つ目はVOA(注;米国営の、対中国に向けた宣伝放送)撤去のための1600万ドルの費用、これも米国が払うことになっていたのに、日本側が全部払っています。同時に、この密約文書の中には、今日の在日米軍の駐留に関する決定的なファクターである「思いやり予算」についても書いてあります。三つ目は協定で決めた3億2千万ドル以上の資金負担を日本がすることです。

 米国は1900年代に情報公開法を大幅に改正し、25年経ったらほとんどの公文書を開示してしまいます。沖縄返還に関わる三つの密約文書も全部開示しました。当時の吉野局外務省アメリカ局長とスナイダー駐日公使とが印鑑を押している文書も、デューイという米国財務省高官と大蔵省の柏木財務官との密約も、その存在を我々は証明し、それを日本政府が外務省の中に秘匿したことも証明しました。それでも情報開示しないのです。普通「不存在」と言えば、無いものは無いのだから仕方がない、と大衆は思ってしまいます。米国の特派員は「米国では、そこまで証明されたら完全に全部情報公開する。それが当たり前だ」と言います。その文書は、日米の代表がそれぞれ署名してはじめて成立する文書で、共同制作なのです。日本側の文書は米国側の文書、米国側の文書は日本側の文書、一対のものなのです。最高裁は「いったん取得し保管した文書であっても、いろんな事情があるから、慎重に検討しなければならない。外交文書は相手側の立場を傷つけてはいけないから、慎重のうえにも慎重をきさなければならない。そういうこともあり得る。」と言いました。こういうことが繰り返されると、日本の情報は究極、全くの大本営発表になってしまいます。都合が悪いものは保管後廃棄してしまえばいい。誰が廃棄したのか誰一人わからないのですから。

 

(今回はここまでです。長くなりそうですが、西山さんの「無念の死」を思い、記録を振り返りながらできる限り要約したいと思います)

(2023年2月26日)

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