熊本教育ネットワークユニオン

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総務省地方公務員の~ 研究会報告書に関するKとYさんの往復メール(1)

 

総務省地方公務員の~ 研究会報告書に関するKとYさんの往復メール(1)

 

 

KからYさんへ      2017年2月3日

 

 地方公務員月報1月号送付ありがとうございました。総務省の考えが分かりやすく解説されています。さて、本日はいくつか質問があり、メールいたします。

下はYさんの文章からの引用です。

個人的には「一般職化に対しては地公法全面適用の確認を求め、その回答を受けて判断する」と考えてきたが、総務省地公法全面適用を逃れる仕組みを作り出す方向が明らかになった以上、「労働基本権剥奪の一般職化」には反対の立場をとるのが適切であり、地公労法を適用させるなど労働基本権の確保に注力する必要があると考えている。

この中で、「総務省地公法全面適用を逃れる仕組みを作り出す方向」はどういうことでしょうか?「総務省地公法適用の仕組みを作り出す」ではないでしょうか。

 

 

 

YさんからKへの返信メール       2017年2月3日

 

現在の地公法には、一般職の非常勤職員を想定した規定が既に存在します。

①22条(条件付き採用の適用除外)、25条3項6号(給与条例に「非常勤の職について給与の調整に関する事項」を規定すること)、28条の2 4項(定年制適用除外)です。 

②29条の2では、条件付き採用期間中の職員と臨時職員には分限などの適用を除外することが定められています。非常勤にはこの規定が適用されませんので、分限が適用されています。

③このように、①の特例を除いて、一般職非常勤職員には地公法を全面的に適用するのが「現在の仕組み」です。

しかし現実には(約13万人の一般職非常勤が採用されている)ほとんどの自治体が、地公法の制限・義務(政治活動・労働基本権・兼業許可・守秘など)は適用しても、保障(分限・法定の賃金労働条件・人勧など)の適用を怠っている現状があります。

この現状を追認し、使用者に都合のいいように「新たな仕組み」をつくろうとするのが、今回の総務省の狙いです。

④(地公法の適用を受けないため労働基本権が保障されている)特別職の非常勤職員を一般職に切り替えて労働基本権をはく奪するのであれば、当然のこととして地公法を全面的に適用しなければならない、ということです。

⑤労働基本権はく奪の根拠とされる「身分保障(=分限)」や「法・条例による賃金・労働条件の確保」、「人事委員会勧告」など、重要な地公法の規定を適用しないことを指して「総務省地公法全面適用を逃れる仕組み(=地公法の条項を部分的・恣意的に適用する)を作り出す方向」と述べたものです。

 

 

 

KからYさんへ      2017年2月4日

 

御回答ありがとうございました。よくわかりました。「労組法の世界から地公法の世界へ閉じ込められる」と理解していましたが、正しくは「労組法の世界から地公法の穴のある部分的な場所への押し出し」であり、労組法はもちろんも地公法も満足に適用されない不安定なところへ追いやられようとしているというイメージですね。

 

今回以上

緊急講座「総務省臨時非常勤あり方研究会報告書を読む」 報告『私見:総務省研究会のポイント』 ★連帯・杉並 安田真幸さん の報告

緊急講座「総務省臨時非常勤あり方研究会報告書を読む」

報告『私見:総務省研究会のポイント』      連帯・杉並 安田真幸さん

 

以下安田さんのレジュメの一部(抜書き)

 ※レジュメの抜書きで行間を読むのが困難かもしれませんが、参考になることも多くここに紹介します。

 

1 運動の積み重ねと判決に押されて、総務省は一時金など手当支給に道を開かざるを得ないところまで追い込まれてきた。

 今回の研究会報告書で「常勤職員と同様に給料及び手当の支給対象と見直すことについて、立法的な対応を検討すべきである」、「その上で、一般職非常勤職員の給与水準を継続的に改善していくことができるよう、検討すべきである」と踏み込んだのは評価できる。

 しかし、人事委員会勧告や共済組合加入、分限については触れず、「職務の内容や責任の程度は、任期の定めのない常勤職員とは異なる設定とすべき」など、「補助的業務」と「新たな任用論(≠更新)」を踏襲し「長期継続雇用」を否定する点において、「格差温存~雇用不安定」の姿勢を変更するには至っていない。

 

2 一定の処遇改善を示す一方で、総務省は私たちの運動を「地公法体制(秩序)」に押し込めるための総反抗に出ようとしていることがいっそう明らかになった。

 その手だてが「一般職化」推進による特別職の労働基本権剥奪であり、総務省通知で示された考え方を「研究会」が後押しをする形になっている。

 総務省の危機感の契機が、東京都消費生活者ユニオン(公共一般労組)と大阪教育合同労組の労働委員会闘争~最高裁判決であることを忘れてはならない。

 

3 個人的には「一般職化に対しては地公法全面適用の確認を求め、その回答を受けて判断する」と考えてきたが、総務省地公法全面適用を逃れる仕組みを作り出す方向が明らかになった以上、「労働基本権剥奪の一般職化」には反対の立場をとるのが適切であり、地公労法を適用させるなど労働基本権の確保に注力する必要があると考えている。

 

以下、研究会での安田さんの発言の要約を書きます。

 

1 研究会報告の3つの基本論理:雇用安定と均等待遇を阻むためのこじつけ

  ①「任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営」

  ② a)臨時・非常勤は「補助的・定型的」

    b)「本格的業務」の典型は「組織の管理運営事態に関する業務」や「権力的業務」

  ③ a)非常勤の任期は「最長1年」

    b)「新たな職に改めて任用」

2 一般職非常勤の「新たな仕組み」創出により差別を温存(①②③略)

3 労働法適用逃れ=労働基本権剥奪の(総務省の)狙い

  ①労働組合による団交から職員団体による交渉へ

  ②労働委員会を適用させない

  ③労働委員会(労組法の適用)を逃れたい理由

    形式論理よりも実態を重視する労働法の世界を忌避

    ・東京都・大阪府労働委員会で完敗 ・「毎年度ごとの任用」を論拠にした団交拒否に対して労働条件に関することは団交事項としなければならないとされたこと。 ・「雇用継続要求」が「義務的団交事項」と判断されたこと。 ・混合組合の団交権を認めなければならければならないこと。・特に、大阪府の団交拒否理由「会計年度を超えた継続的な任用、更新は法律上も認めておらず、常に新たな任用である」が労働委員会で退けられたこと」が大きい。

4 検討~評価を深めるべき論点

  特に、国と同様の制度への移行ということだが、国の制度がかなりいい加減

  財政措置

  研究会の3者協議の原則に立った、当事者組合の参加。

 

  • 重要な論点 労働基本権剥奪と「新たな任用論」

1 労働委員会を活用した到達点

① 大阪教育労働労組「継続雇用要求は義務的団交事項!‼」

 ★中央労働委員会命令―高裁判決―最高裁判決で確定

最高裁判決の意義

 ・これまでの自治体非常勤職員の裁判は「任用論」の壁により、ことごとく敗訴に追い込まれてきた。

 ・しかし、形式よりも実態を重んじる労働法の世界では「任用論」をンり超えることが可能であることが証明された。

 ・総務省が一般職化を頑なに進めようとするのは「任用論」が労働法の世界で覆されることを抑え込みたいためである。

2 職の性格付け(臨時適職or恒常的職)が大原則

3 既に破綻している「新たな任用論」

4 「任期の更新と再度の任用は異なる概念である」!?

 以上

一からわかる『共謀罪』200円を読んでます

一からわかる『共謀罪』200円を読んでます。

 2017年1月発行です(つまり最新情報)。

 サブタイトルは「―話し合うことが罪になる―」です。

 編集発行は「秘密保護法」廃止へ!実行委員会(平和フォーラム・新聞労連 ほか)、解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(許すな!憲法改悪・市民連絡会 憲法会議)、盗聴法廃止ネットワーク(盗聴法に反対する市民連絡会 日本国民救援会)です。

 内容は「共謀罪って何?」(海渡雄一さん)、共謀罪をつくらなくても「国連越境組織犯罪防止条約」は批准できます、共謀罪法案対照表、戦争準備法制としての治安維持法共謀罪海渡雄一さん)、共謀罪攻防ドキュメント、加速する監視社会の動き(小笠原みどり(ジャーナリスト))共謀罪が適用される法律名・罪名 ほか。

 3冊手元にあります。近く(熊本市周辺)の方で欲しい方はご連絡ください。200円です。

官製ワーキングプア研究会緊急集会時報告『総務省報告書を読んで 竹信三恵子さんのコメント ―雇う側の支配力を強化する危険がある― 』」

総務省報告書を読んで コメント ―雇う側の支配力を強化する危険がある―

竹信三恵子さん

 

(要約 かなり要約しています 要約者 小林)

今回の公務員の改革と、12月20日に発表された民間での同一労働同一賃金ガイドライン(案)とは割と相似形をしていると思う。同一労働同一賃金ガイドライン(案)はいろんな見方があると思うが、私は厳しめに評価している。

先日の発表された、同一労働同一賃金ガイドライン(案)では基本給はほとんど是正されないではないかと言われている。ガイドライン(案)では基本給は①職業経験・能力 ②業績・成果 ③勤続年数 の3つに要素に分類して基本給を比較する1)。それらが同じなら正社員・非正社員を同水準にするというもの。「職業経験・能力」はきわめて恣意的なものである。何が能力かもわからず、経営側の判断に任せられるもの。以前は女性は結婚したら仕事を辞める、教えても仕方がないということで職業経験も能力も上がらないということで、賃金格差をつけるということがあった。今でもそれは少し残っている。それから、業績・成果は、働く側に抗弁の余地がない。経営側が決めること。そもそも業績・成果をあげるにはそれなりの立ち位置がいる。かろうじて勤続年数は客観指標。

海外でやっているILOの同一価値労働同一賃金指標には客観指標が入ってる2)。4つの判断(1)スキル(2)責任(3)負担度(4)労働環境で比べようとする。このうち特に負担度と労働環境は非正規にとって有利に働く。例えば毎日暑い環境でハンバーグを焼くという仕事をやっている非正規従業員は、店長と比べ責任は軽いかもしれないが負担度・労働環境は大変大きい。これらは非正規の待遇を改善する項目とされている。このような観点から比較する視点が必要。しかし、今回の政府のガイドラインは雇う側の判断が大きく、雇う側がどうにでもなるようになっている。

今回の公務員もそのような格差是正の要素は入っていない。何をもって比較するかもない。雇う側の支配力を強化する危険がある。

さらに、特別職を一般職にする。このことは現在特別職が持っている労働基本権が保障されるかどうか危うくなる可能性がある。特別職を公務員並みに押し込み(地公法適用→基本権剥奪)、任用・公募になり、労働基本権を使った交渉ができるかが疑問視される。

結局、民間においても公務においても、雇う側の支配力を強めることをこっそり忍び込ませている。

ただ、手当は前進面もある。公務にも時間外割増率を平等にとあるが、当たり前!と思うが、実は支払われてない実態があり、それが他の足を引っ張っている。

現在、郵政やメトロの労働者が、労働契約法20条「不合理な格差は禁止」で闘っている3)。これへの影響も考えなければならない。

民間も公務もあとは力強く労使交渉で進めなければならない。

 (注)

1) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf

2) ILOhttp://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---asia/---ro-bangkok/---ilo-tokyo/documents/publication/wcms_485126.pdf

3)www.20jyosaiban.ne

  http://blogos.com/article/86101/ 

 

かなり要約しました、真意が曲げれれて伝わるのが心配ですが、大事な報告でしたのでここに投稿します。(小林敏夫)

官製ワークングプア研究会 報告(その7) 『読解 総務省報告書』(7) 【最終回】

 官製ワークングプア研究会 報告(その7) 『読解 総務省報告書』(7)ですが、今回は(9)地方自治法改正、(10)立法措置ではなく通知で触れるのは、()その他で最終回です。長い間ありがとうございました。

今回は上林さんの報告を書きましたが、時間があったら、竹信さん、安田さん、山下さんの報告も書きます。

 

(9)地方自治法改正

 報告書には、①「民間の労働者や国家公務委員との制度的均衡を図る観点から、まずは、常勤職員と同様に給与及び手当の支給対象とするよう給付体系を見直すことについて立法的な対応を検討すべき」としている(研究会報告書p10)。また、続けて②「その上で、給与水準を継続的に改善していくことができるよう、検討すべき」としている(同p10)。

 

 地方自治法はこのように改正される

第二百三条の二  普通地方公共団体は、その委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員、自治紛争処理委員、審査会、審議会及び調査会等の委員その他の構成員、専門委員、投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。

                   

第二百三条の二  普通地方公共団体は、その委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員、自治紛争処理委員、審査会、審議会及び調査会等の委員その他の構成員、専門委員、投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員、会計年度任用職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。

 

普通地方公共団体は、普通地方公共団体の長及びその補助機関たる常勤の職員、委員会の常勤の委員(教育委員会にあつては、教育長)、常勤の監査委員、議会の事務局長又は書記長、書記その他の常勤の職員、委員会の事務局長若しくは書記長、委員の事務局長又は委員会若しくは委員の事務を補助する書記その他の常勤の職員その他普通地方公共団体の常勤の職員並びに短時間勤務職員に対し、給料及び旅費を支給しなければならない。

          ↓

普通地方公共団体は、普通地方公共団体の長及びその補助機関たる常勤の職員、委員会の常勤の委員(教育委員会にあつては、教育長)、常勤の監査委員、議会の事務局長又は書記長、書記その他の常勤の職員、委員会の事務局長若しくは書記長、委員の事務局長又は委員会若しくは委員の事務を補助する書記その他の常勤の職員その他普通地方公共団体の常勤の職員並びに短時間勤務職員、会計年度任用職員に対し、給料及び旅費を支給しなければならない。

 

(10)立法措置ではなく通知で触れるのは

 ①手当    時間外手当:労基法で定める基準を下回らない額を適切に支給すべき

        通勤手当:費用弁償的性格を踏まえ適切に支給すべき

        退職手当:現行の支給要件を満たす場合には、適切に支給すべき

 ②給与水準  昇格方式を採用

        昇給 報告書には触れてない

(資料)一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項の非常勤職員に対する給与について

(平成20年8月26日給実甲第1064号)

人事院事務総長発)

  一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第22条第2項の非常勤職員に対する給与の支給について、下記のとおり指針を定めたので、これを踏まえて給与の適正な支給に努めてください。

 なお、これに伴い、給実甲第83号(非常勤職員に対する6月及び12月における給与の取扱いについて)は廃止します。

                                                          記

1 基本となる給与を、当該非常勤職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級(当該職務の級が2以上ある場合にあっては、それらのうち最下位の職務の級)の初号俸の俸給月額を基礎

として、職務内容、在勤する地域及び職務経験等の要素を考慮して決定し、支給すること。

2 通勤手当に相当する給与を支給すること。

3 相当長期にわたって勤務する非常勤職員に対しては、期末手当に相当する給与を、勤務期間等を考慮の上支給するよう努めること。

4 各庁の長は、非常勤職員の給与に関し、前3項の規定の趣旨に沿った規程を整備すること。

 以   上

 ③その他の勤務条件 労基法に定める休暇 年休、産前産後休暇、育児時間、生理休暇の制度整備を確実にすべき。育児休業制度の条例整備をおこなうべき。研修について適切な対応を図るべき。

④定数は条例定数外

⑤雇い止め問題―再度の任用

 報告書が強調したいこと:任期終了後、再度、同一の職務内容の職に任用されたこと自体は排除されるものではないが、「同じ職の任期が延長された」あるいは「同一の職に再度任用された」という意味ではなく、あくまでも新たな職に改めて任用されたと整理すべきものであり、当該職員に対してその旨説明がなされるべき

 同時に報告書は、応募要件に制限を設けることを避けるべきとしている。

「一方、募集に当たって、任期の回数や年数が一定数に達していることのみを捉えて応募制限を設けている地方公共団体が一定程度存在する。そのように一律に応募制限を設けることは、平等取扱いの原則や成績主義の観点から避けるべきであり、均等な機会の付与の考え方を踏まえた適切な募集を行うことが求められる。」(p12)

 報告書には、公務員は適用除外とことわりつつ「労働基準法第14 条第2項(内容は厚生労働大臣は、有期労働契約の紛争防止のため、使用者が講ずべき基準を定めることができるとした項)」に基づいた「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(厚生労働省)」をあげ、契約更新しない場合の予告、理由の明示に言及している。

 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1209-1f.pdf 

 

(11)財政措置 現在、自治体及び教育委員会に対して調査が行われている。

 

(12)労働委員会

  

 

これで、一応シリーズ終了です。

長い間読んでいただいてありがとうございました。 

今回は上林さんの報告を書きましたが、時間があったら、竹信さん、安田さん、山下さんの報告も書きます。

上林陽治さん、官製ワーキングプア研究会の皆さんの活動と理論の高さには敬服いたしました。

 

非正規公務員の運動にかかわっている方・関心のある方に是非読んでいただきたいと思っています。また、もし行政関係・教育委員会関係の方が読んでいただいておられましたら、予算措置の要求を国(総務省)に求めてください。1月26日締切り分もあったでしょうが、今後もよろしくお願いいたします。

 

2月11日高良鉄美講演会

2月11日高良鉄美講演会

既に

http://kenu2015.hatenablog.com/entry/2017/01/17/063905

で、お知らせしましたが、熊本教育ネットワークユニオンで入場券を3枚持っています。

希望の組合員または組合員になろうとしている方で希望の方に差し上げます。