文化・芸術
「二十億光年の孤独」 今年二月、小澤征爾さんが逝き、「巨星墜つ」というブログを本欄に書いた。今度は十一月十三日に谷川俊太郎(たにかわしゅんたろう)さんが亡くなった。 谷川さんの詩・文は小学校から高校まで多くの教科書に掲載され、高校教科書では…
肥後の古刹を巡る~その2・国見山と康平寺~ 国見山はここでは山鹿市鹿央町にある山を指す。全国には夥しい数の「国見山」或いは「国見岳」があって、熊本県内に限っても少なくとも十山は下らない。最も有名なのは九州脊梁最高峰の国見岳(1739メートル)で…
秋のソネット(わが「山岳手帖」より) (1) いつになく私が寡黙であるわけを 利発な君たちはもう見抜いているだろう 空は限りなく深く光は優しく柔らかい このメルヒェンの世界で私は好んで空想に耽るのだ 瞼を閉じると見え耳を塞ぐと聞こえるもの 真っ赤…
「交響的前奏曲」から「Queen」まで 昨夜、心に余裕が出来たのか久しぶりにYouTubeを視聴した。まず、マンドリンオーケストラによる「交響的前奏曲」(ボッタキアーリ作曲)から入った。だいたい小澤征爾さんか、マンドリンやギターか、あるいは辻井伸行さん…
ヒゴタイとスズラン 家の庭の端にヒゴタイが咲いた。ルリ色の球状の花がおもしろい。絶滅危惧類にも指定されており、採取が禁止されているという。我が家の相棒が友人の南小国の義実家にヒゴタイがあるそうだ。その友人からから種をもらって、4年ほど前に蒔…
あばたもエクボなのか マルハラという、マルありをハラスメントとするには、異議がある。マルに威圧感とは、納得できない。22歳の青年に聞いた。「どうして威圧感を、感じるのか」「マルでなく、びっくりマークか、はてなマークがあればわかりますね」飲み会…
いちゃればちょうでー とある火曜日の午後。二胡の練習をしていると、自転車でやってきたおばさんが、私の二胡を指差し、驚くような喜ぶような顔をみせる。そして後ろから来ている連れ合いに何か言っている。なにかはわからない。なぜならば中国語だから。正…
巨星墜つ 一昨日(2/9)は熊本教育ネットワークユニオンの執行委員会。みんなが揃う前の執行委員長Kさんとの会話。私「最近、身近な人が亡くなるね。仲間たちがみんな歳とっていくよね。自分も年男、あと何年生きるか分からんね」Kさん「そうね、でも8…
河辺の散歩道 (1) 今日も野道を歩く。冬の日光は柔らかさと温かさを届けてくれる。珍しく河口の方へ足を伸ばしてみた。干潟のまわりには野鳥がいっぱい。鴨、鷺、千鳥たちであろうか。蛇行する流れに添うように、遠目に見れば小石でもばら撒かれたかのよ…
「気」と「間」 昨(1/20)夜、人吉で開催された「川辺川ダム反対学習会」から帰宅してテレビを見ていると、大相撲のニュースで正代が横綱照冨士に勝ったと言っている。6年ぶりの「金星」だそうだ。が、大関をはじめ長く三役にいたわけだから、今時「金星」…
シとドのあいだピアノには白鍵と黒鍵が並んでいる。その並べかたはどうなってるかというと。黒鍵が2個並び一つ空き黒鍵3個である。2つ並んだ黒鍵の左の白鍵はド。白鍵ドとその右の白鍵レの間に黒鍵がある。この黒鍵はドシャープ。次のレとミの間の黒鍵はレシ…
やっぱり「ナマ辻井伸行さん」は凄かった 6月のある日テレビを見ていると、あの「辻井伸行さん」が熊本に来ると言っている。クラウス・マケラ指揮のオスロフィルハーモニー管弦楽団との共演だ。 「お父さん!ケチケチしなくてもいいよ」という妻の温かいアド…
『ヒロシマノート』を再読する わが本棚の一隅に岩波新書『ヒロシマノート』が立っている。立っていると言うより、他の本に圧迫されてほぼ窒息状態に近い。日に焼けて背表紙が黒ずみ、存在感さえ薄れているのが実状だ。 今年3月、大江健三郎さんが亡くなった…
映画 久しぶりに映画を見に行った。 コロナ禍の前はよく映画を見に行ったけれど、コロナ禍のあいだ映画にほとんど行けていなかった。 マイレージも失効し、たまっていたポイントがながれてしまった。 アニメの原画を描いている長女が、自分の制作勉強のため…
国東と中津へ 何かの冊子に大分国東半島に長崎鼻というところがあり、7月下旬頃からひまわりが一面咲いているという写真と記事があった。長崎鼻というと鹿児島薩摩半島の最南端にあることは知っていたが、行ったことはない。他にも全国に同じ地名が何カ所も…
ノスタルジア(その4) (1) 話を古墳の出土品に戻すとしよう。宇土市立図書館1階の「郷土資料室」の奥にそのコーナーはあった。刀剣4本と槍の穂3本、丸い鏡が大小3個。そして、おそらく女王(願望と敬意を込めてあえて断定する)の身を飾っていたで…
ノスタルジア(その3) (1) この女性とは一体誰だったのか、あるいはどんな身分の人だったのか。「弥生から古墳時代」「年齢は40歳前後」「彩色石棺」「多数の副葬品」……。これらの言葉から、当時の自分は大胆な想像をしてしまった。ひょっとしたら、…
ノスタルジア(その2) (1) 熊本市から国道3号線を南下して宇土市に入る。松原交差点を直進して松山町というところまで来ると、左側にこんもりした山が見えてくる。ここから更に南へ、およそ2キロの山塊がこの文章の舞台である。海抜は最高地点でもわ…
ノスタルジア(その1) (1) 「おーい、ミゼットが来たぞ。」と仲間の一人が叫ぶ。すると子どもたちはチャンバラをやめて一斉に道路に飛び出した。その車が目の前を通り過ぎるのを待って、大きい方の子どもらが追いかけてゆく。そして荷台に飛び乗って、…
雨がふる 「雨が降らないと作物という命綱が育たないから、雨よふれ、と雨乞い踊りをする。すると必ず雨が降る。何故か。」と問われ、答を聞いた。 昨日ママンが死んだ、からはじまるカミュの「異邦人」。主人公ムルソーは、施設で亡くなった母の葬儀に行く…
あったりしますか? 語尾あげを聞くのも流れるようになった。最初は疑問(自信のなさ?)というように我にも彼にも表現しているだけかと思った。トラウトさんの投稿を読んで、婉曲表現大盛時代だと思う。責任をとらないですむように語られるようになってきつつ…
ニ胡の発表会がある。12時集合なので、11時まで、テニスができる。何ヵ月前からか忘れるほど(年のせいもあるか)前から、練習してきた。 今でも、音を外さないようにするのが、第一の課題である。フリースペースの弦の440ヘルツの一点を押さえなければ、少し…
侏儒の呟き(8) ○「共に学問の奥義を究めながら、Aは事実に蓋をする者、Bは公に危険を知らしめる者。斑目春樹と小出弘章。」このような文章をおよそ10年前に書いた記憶がある。福島原発が壊滅状態となり、今後の原子力政策をどうすべきか、日本国中に…
時の流れに任せて ○「美の旅・西洋美術400年(珠玉の東京富士美術コレクション)」を見学に行く。県立美術館本館。華麗にして荘重、そして重厚な絵画の数々に圧倒されてしまった。ティントレット(何と16世紀!)からブーシェ、ミレーやモネ、ゴッホ、…
二胡の発表会での演奏で「ひまわり」を練習している。 映画「ひまわり」ヘンリーマンシーニの作曲である。映画は戦争に行って帰ってこない夫を探しに行く妻の、哀しくも美しい物語である。探しに行った途中でのひまわり畑が、とりわけ心に残る。 その哀しさ…
秋づくし 今朝10時過ぎに玄関のチャイムが鳴り、檀那寺の若住職が立っていた。えーっ、屋根・壁の塗装をしている最中なので「今月の命日はお寺での回向をお願いします」とSMSでお願いし「了解」をいただいていたのに(^_^;)!・・・折角おいでいただいたので、…
侏儒の呟き(7) ~炎暑の秋のつぶやき、あれこれ~ ○ジャズとコーヒー。クラシックにはウィスキー。プロ野球中継にはビール。ジャイアンツが負けそうであればウィスキーが加わってグラスが進む。そして、宗隆が打てば歓喜は頂点に達する。 ○太陽が落ちて西…
最後の仇討ち 5月になって「蒼天見ゆ」(葉室麟/著)を読んだ。妻が市立図書館から借りた本のうちの1つである。最初は少しずつだったが、途中から一気に読んだ。史実を元にした歴史時代小説である。主人公は福岡藩の支藩である秋月藩の家老・臼井亘理(うす…
夢のその先は……(その1) (1) 夢を忘れてはいけない。夢は常に見続けていなければならない。そう思ってまた山に入るのである。だがなぜか、春の山は人を容易に夢想の世界に遊ばせてくれない。うつらうつらして、眠気があるのに深い眠りに入れない。何だ…
野の鳥に寄せて 「山を始めて一年です。何か趣味を持ちたいなと思って始めました。」 ―それはいい趣味を持ちましたね。 (と大いに褒める。が、この男性、山の知識はほとんどないようだった。) 「正面の、あの尖った山は何ですか。」 ―あれは甲佐岳です。 …