熊本教育ネットワークユニオン

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やっぱり「ナマ辻井伸行さん」は凄かった

 やっぱり「ナマ辻井伸行さん」は凄かった

 

 6月のある日テレビを見ていると、あの「辻井伸行さん」が熊本に来ると言っている。クラウス・マケラ指揮のオスロフィルハーモニー管弦楽団との共演だ。

 「お父さん!ケチケチしなくてもいいよ」という妻の温かいアドバイスに押されて、可能な限り辻井さんの「指」に近いであろう「6-1」つまり、前から6番目の最左端(ここでもトイレの不安は消えない)の座席(S席)を奮発して押さえた。

 

 10月26日は昼間っからそわそわして落ち着かない。早くから駐車場の心配をしなくてもいいのに4時過ぎには県立劇場の駐車場へ。しばらく車内で本を読んでいたが、どうも落ち着かないので劇場内のレストランへ。よーし、今日は夕食も奮発しようと思ったが…奮発するほどのメニューはなかった。待ちに待った開場・着席。辻井さんが登場する第二ステージには目の前運ばれてくるピアノが、今はまだ左端に寄せてある。と考えているうちにオスロフィルのメンバーが順次登場、着席、オーボエのA音(440Hz)が鳴る、続いてコンマスが同じ音を弾き、チューニングの完了。

 

 第一ステージはショスタコーヴィチ作曲の祝典序曲。華やかな序曲、華やかなクラウス・マケラのタクトさばきは若々しく明快で華やかだ。

 

 曲が終了すると下手にあったピアノが前に運ばれてくる。第一バイオリンの前(私の前)あたりで止まると思っていたが、そのままゴロゴロと引かれて指揮台の後ろまで来た。「そうか、やはりそうきたか」と少し残念だったがSS席ではなかったので仕方がない。

 ショスタコーヴィチ作曲ピアノ協奏曲2番が始まる。軽快な管楽器で始まり、すぐピアノが寄り添う。辻井さんの華やかな打音。華やかに展開して第1楽章は終わる。第2楽章は静かな弦の響きで始まり、なぜか懐かしさを感じるビアノの調べ。第三楽章Allegroはピアノとオーケストラの軽妙な掛け合い、辻井さんの体は指の動きに引かれて動き、指はこれでもかと鍵盤の上を走る。終曲に向けて怒濤のように展開してタクトが止まると同時に嵐のような拍手が沸き上がる。もちろん拍手は鳴り止まない。三度目のカーテンコールで着座した辻井伸行さんがアンコール曲に選んだのは「ラ・カンパネラ」。期待通りの選曲に感動。「パガニーニによる大練習曲ラ・カンパネラ」はYOUTUBEで何度となく視聴した(している)超絶技巧曲だ。ずっと終わらないでほしいと聴いていたが、最後の和音が打撃されるとすぐに辻井さんの指は鍵盤から離れ、椅子から立ち上がった彼は、YouTube見るように深く一礼したのだった。何度カーテンコールで呼び出されたか数えていないが、こんなに拍手をしたことはないほど手をたたいた。

 

 最後のステージは、R.シュトラウスの「英雄の生涯」。物語を奏でるコンサートマスターのバイオリンソロが素晴らしかった。

 

 とにかく辻井伸行さんに圧倒され、しばし現実を忘れさせてくれた2時間だった。

 

Trout 2023.11.12