熊本教育ネットワークユニオン

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故きを温ねて怒りを新たにする ~新聞スクラップより~

        故きを温ねて怒りを新たにする

          ~新聞スクラップより~

 

            (1)

 読者の皆様へ。まず次の文章をお読みください。テスト問題のようで恐縮ですが、………部に入る文言を想像してみてください。

 「今日の日本社会が直面する困難が、長期にわたる経済的停滞にあるのは言うまでもないであろう。しかし、経済の低空飛行が唯一のそして最大の困難ではない。米国の属国まがいの追随主義に明け暮れ、今なお潜在的戦争状態にある………………、そうした政治に効果的なブレーキをかけることのできない議会、有効な異議申し立てをするのを忘れつつあるジャーナリズムや専門家集団、気概を失ってしまった市民社会など、日本社会の困難は複合的構造を示している。」

 ………部の正解は次の通りです。「イラクへの自衛隊派遣を画策する小泉政権の思慮なき政治」。(2003年7月27日、熊本日日新聞・『潮流』)

何と20年以上も前の記事なのです。が、仮にここを「中国や北朝鮮に対抗しようと軍備増強に勤しむ岸田政権」としても、現状と何ら矛盾しないように私は感じます。

            

            (2)

 春です。物憂い季節です。わが本棚に、この季節に合わせるように眠り呆けたスクラップブックが15冊並んでいます。目覚めなさいと、まるで己に呼びかけるように起こしてあげました。その第1冊目の1ページ目には『ゴルビーよ、さようなら』(朝日新聞・社説、1991年12月27日)が貼り付けてありました。なぜ新聞スクラップを始めたのか。どうしてこの記事なのか。想像するに、ゴルバチョフによる民主改革とソ連邦の崩壊、旧共和国の独立という一連の動きはきっと、歴史の大きな転換点になる筈だという思いがあったのだろうと思います。先立つ3年前には、東西冷戦の終結もありました。社会の動きや世界情勢にいつまでも無頓着ではいられないという焦りが、わが心のうちに燻っていたに違いありません。ともあれ、社説は彼の功績を次のように述べています。

「言論、宗教の自由がもたらされ、自由な選挙が行われ、複数政党制度が実現した。『社会は自由を得た』というゴルバチョフ氏の言葉は、決して自賛ではなく、公平な、歴史の審判にたえる評価であると思う。…(中略)…ペレストロイカによって、虚偽のうえに虚偽を積み重ねるというソ連の持病は追放された。」

 しかし彼の改革は必ずしも国民の多数に支持されたわけではなかった。特に経済政策は弁解の余地がないほどの失政であったということも社説は付け加えています。現代のプーチン政権が旧ソ連の硬直した官僚的イデオロギー体制と重なって見えるのは、ロシア国民の中に、今もって彼の改革の真価を認める気持ちがないからだと言えるかもしれません。

 

            (3)

 ページをめくっているうちに小さな記事を見つけました。『米国スキャンダル議員の辞め方(副題:僅か百万円の利益得ただけで辞職に。)』(社会新報、92年1月31日)

紙数の都合で詳細は省きますが、不正な利益を得たという理由で二人の議員が辞職に追い込まれたというのです。論評を読んで驚きました。「日本の自民党ならさしずめ、世論や野党の厳しい追及をかわしながら、よくて離党、悪くすると議員に居座ったままというケースかもしれない。」何だ、30年前から体質は全く変わっていないということではありませんか!                              

~オウシャン・セイリング~