時の流れに任せて
○「美の旅・西洋美術400年(珠玉の東京富士美術コレクション)」を見学に行く。県立美術館本館。華麗にして荘重、そして重厚な絵画の数々に圧倒されてしまった。ティントレット(何と16世紀!)からブーシェ、ミレーやモネ、ゴッホ、ゴーガンなど有名画家がずらりと並び、20世紀のシャガール、キリコ、マグリットといった作家たちまで、美を追い求める力強い意志を肌で感じることができた。歴史画、肖像画、(これらが西洋絵画の上位に置かれるそうだ)、風俗画のほか、風景画(巨大な壁画のようなものも数点あり)、静物画、そして分類しがたい近現代の作品まで幅広い展示であった。西洋美術の壮大な歴史と伝統が、まるで大河のように悠々と流れている様を知ることができた。ナポレオンを描いた有名な作品も含まれていて、平日にも拘わらず多くの入館者があった。廃句(駄句)を2句。
手巾をマスクに重ね美術展
皇帝の赤きマントや秋日和
○結局、実行してしまった。「国葬」という形を取ることで、岸田は何を伝えたかったのか。国民の半数以上が実施に反対した。全国で、また国会周辺でも毎日反対のデモや集会があった。抗議のための焼身自殺者まで出た。そういう中での強行であった。「聞く力」を標榜しておきながら、この件に関しては完全に耳を塞いでしまった。諸外国からの要人の出席も期待はずれであった(これは結果論であるが)。国民の中に敢えて分断を持ち込むところに、彼の政治姿勢の一端が見えるようである。詰まるところ、無思慮な長老議員たちの圧力に屈したというのがその真相ではなかったか。
○秋分が過ぎカレンダーは10月に入ったが、依然として暑さが厳しい。太陽光線は刺すように鋭く、重ささえ感じるほどだ。
今年も台風襲来の恐怖に怯えた。11号が韓国で暴れた。14号は熊本県内に上陸という予報が出ていたので、避難すべきかどうかを本気で考えた。幸いにも巨大化しないままに日本海へ抜けてくれて安堵した。しかしそのあとの15号は東海、関東地方に大きな災害をもたらした。海の向こうではスーパーハリケーンがアメリカ、カナダを襲う。パキスタンでは洪水で国土の3分の1が水没だそうだ。気候変動がいよいよ牙を剥いてくる。
○今日も野の道を歩く。草も木も花や穂をつけて秋を満喫しているようである。名を覚えた野草類をメモしておこう。イヌビワ、ヌルデ、オオブタクサ。カラムシ、アキノノゲシにマルバアサガオ。小花が美しいのがコセンダングサとマルバルコウソウ。夏まではすべてが雑草であった。名前が分かれば親しい草花となる。時の流れに任せて植物たちは無心に生きる。そして己の順番が過ぎればあっさりと消えてゆく。人も見習って自然のままに生きるべきであるか否か。なまじ人間は高度の医学を手に入れた。手を伸ばせばあまたの欲望が誘惑している。 (ネットワークユニオン・S)