熊本教育ネットワークユニオン

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河辺の散歩道

   河辺の散歩道

 

      (1)

 今日も野道を歩く。冬の日光は柔らかさと温かさを届けてくれる。珍しく河口の方へ足を伸ばしてみた。干潟のまわりには野鳥がいっぱい。鴨、鷺、千鳥たちであろうか。蛇行する流れに添うように、遠目に見れば小石でもばら撒かれたかのように、数千、数万の冬鳥が遊んでいるのである。この時期の鳥たちはきわめておとなしい。無駄に騒ぎ立てたりしない。その中の一羽が羽搏けば、つられて十羽、二十羽ほどが羽搏くのであるが、上空を大きく旋回して戻ってくると、皆で息を合わせて着水する。そして何事もなかったかのように、悠々と水脈(みお)を引き始める。こういう姿がどうも、一定の時間差でもってあちこちのグループでくり返されるようである。

 人が勝手に拵えた時間の区切りというものが、彼らにはないようだ。一日が24時間である訳でなく、昨日、今日、明日という観念もなく、その時が来れば目覚め、その時になれば眠りにつく。そんな時間の流れの中で平和に生きる方法を、当たり前に身に着けているように思われる。

    

      (2)

 河辺にて詠む冬の俳句(駄句)

 

 寒晴やはしゃぐ山並み鷺の群れ

 鴨遊ぶ蛇行の先は金の海

 冬干潟一羽が発てば群れで発つ

 冬あかね目路の果てなる島の影

 日が落ちて寝支度急ぐ冬嶺かな

 

    (3)

 堤防の上や周辺を眺めると、この時期、植物にもさまざまな顔があるのが見えてくる。

背の高いススキやマコモジュズダマなどが突っ立ったまま、豪快な枯れ姿を見せている。一方足元には、タンポポノゲシ、ハルジオンが、お揃いのロゼット状に葉を広げ、地面にぴったり張り付く様子である。多年生草本たちの、寒さを防ぐための賢い知恵。太陽と青空を仰ぎ見る、春待ち姿。

 今、日が沈もうとしている。ゆらめき、きらめき、光の束を収めながら。その赤い光輪が海のかなたに消えるまで、私はじっと見つめる。それは意外なほど長い時間であった。ゆらめき、きらめき、一瞬、私の心に青春の情熱が戻った。

                  

                    ~~オウシャン・セイリング~~

編集者の興味で写真を貼りました👇 植物はまたの機会に

鴨 (写真はフリー写真)

 

鷺 (写真はパブリックドメイン

千鳥(写真はフリー写真から)