「臨時教員の3割、失職中にも業務 学校多忙化浮き彫り、日教組調査」報道におもう
本日(3/15)の各紙(共同通信配信)は「臨時教員の3割、失職中にも業務 学校多忙化浮き彫り、日教組調査」を伝えている(たとえば東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017031401002291.html 熊本日日新聞は朝刊26面)。
臨時教員の3人に1人が、失職中にもかかわらず、補習授業などの業務に携わった経験があることが14日、日教組のインターネットによる実態調査で分かった。うち3人に2人は失職中に児童生徒らの個人情報を扱っていたことも判明。多忙化が進む学校現場で、臨時教員が任用期間外でも業務を強いられている実態が浮き彫りになった。
臨時教員の任用は地方公務員法で最長1年までとされているが、翌年度も再び任用されることが多い。教育委員会の多くは継続雇用とみなされないよう、年度末などの端境期に数日間の離職期間を設けているが、学校現場からは「その期間にも仕事はある」との声が上がっていた。
( https://this.kiji.is/214428054679684599?c=39546741839462401 )
この問題は今回総務省が研究会報告で指摘し、改善を強く求めているものの一つである。上記記事では、引用すると「臨時教員の任用は地方公務員法で最長1年までとされているが、翌年度も再び任用されることが多い。教育委員会の多くは継続雇用とみなされないよう、年度末などの端境期に数日間の離職期間を設けている」とされているが、さらにその少し奥の理由は、そのほうが財政的に都合のよいこと=社会保険料等の負担回避があるからである。それを、総務省の研究会報告では、「空白期間を置くことを直接求める規定は、地方公務員法をはじめとした関係法令において存在しない」と言い切っている。これは総務省の2014年通知でも言ってたこと。さらに「退職手当や社会保険料等の負担を回避したり、任用されていない者を事実上業務に従事させたりすることは、・・・明らかに不適切」とも言っている。
今回の調査は「政府が働き方改革を掲げる中、臨時教員の任用のあり方にも一石を投じそうだ」(新聞各紙)とあるが、実は、総務省研究会報告と続く3月7日提出の法案でその方向はつけられている。そこ(今回提出の法案)との関係を共同通信と各紙は書いてほしかった。もちろんこのような報道がその方向を進めていく働きを否定するものではない。
しかし、大きな問題は、非常勤職員(非常勤講師)の問題だ。全国で待遇がまちまちだが(大雑把にいうと東高西低傾向/熊本県では私高公低)、「ただ働き」が蔓延している(していた)。勤務時間以外に仕事をしている実態がある(あった)。( )内は過去形だが、それには理由がある。いくつかの県では、団体交渉で労働協約を締結して、改善(「必要な働きには報酬を出す」)を実現してきたからだ。本県でも、労働委員会を使ったりや団体交渉をしたりし、ずいぶん改善した。しかし、未だこの改善が知れ渡っていない(=実効あるものになっていない)という現実もある。
今回の制度改革でも、非常勤職員(非常勤講師)は取り残されるどころか、労働協約締結権をはく奪されてしまう。非正規を分断し、闘争力を奪う今回の動き・問題に何としても取り組まなくてはならない。
自治体労働運動や教育労働運動のこの部分での取り組みと当事者組織の連帯はさしあたり喫緊の課題である。