どうしました? 相談に応えて
X高校 A様
熊本教育ネットワークユニオンのアンケートで非常勤の先生から質問が出たとのことでしたがお答えします。
【X高校Y科の非常勤講師のB先生の疑問】
最近になって、自分に有給休暇があることを知りました。実際に使おうとすると他の先生方に授業をお願いして休むことになるのでとても気が引けて、そこまでして有休を使おうという気になれません。ありがたい制度ですが、使わずじまいになりそうです。他の非常勤の先生も同じではないでしょうか。他の先生方に負担がかからないような有休の取り方があれば教えて欲しいです。
(筆者が原文の内容を変えない程度の字句の使い方での加筆修正をしました。)
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回答
労働基準法ではその39条に「(年次有給休暇)第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」とあります。また、非常勤講師の皆さんに配布のQ&A(これは県教委とユニオンが協議し作製したものです)の「別添資料」熊本県教育委員会会計年度任用職員任用等取扱要綱5条~10条抜粋にも年次有給休暇があることが明記されています。つまり、有給休暇はあるわけです。
さらに取得にあたっての心配事が書かれていましたが
「他の先生方に授業をお願いして休むことになるのでとても気が引け」るということですが、そのために校務分掌(教務による監督等の配置)があるわけですから、割り切ることが大切です。尚、自習課題を作成するということもあるかもしれません(作成そのものはボランティアになりますが)。
「他の先生方に負担がかからないような有休の取り方があれば教えて欲しいです。」とのお考えですが、それは「ない」と思います。そしてこのことはすべての労働者に言えることだと思います。
少々言いにくいことを言わせてもらえるなら、良い教員であろうとする意識(無意識であれ)が、結果的に自分の首を絞め、同僚の首を絞めることになり、引いては学校を息苦しくすることになっているのかもしれません。
自分たちの高校生のころを思い出してみましょう。課題なしの自習がどんなにか楽しかったか。その中でも黙々と学んでいる級友の姿を見て自らを省みたことがあったことを・・・。
さらに、年休取得と「働き方改革」に関するの民間での動き(「働き方改革関連法」による年5日の確実な取得)などについてもお知らせしたいことがありますが、長くなりますのでここでは触れません。
書きませんでしたが、実は最初のお答え原案には次の部分もありましたが、わかりにくくなることも考慮し割愛しています。
尚、時代は有給休暇をとる(とらせる)ことを要請しています。「働き方改革法案」により、2019年4月から一定要件を満たす者には年5日の年次有給休暇の確実な取得が義務化されました。但し地方公務員法では適用が除外されています(地方公務員法第58条第3項)。しかしながら、「情勢適応の原則(地方公務員法第14条第1項)」等を考えると、同様に年次有給休暇の時季指定(強制的にでもとらせる)の考えは浸透していくものと考えられます。
[注1]一定要件の中には、「年休が10日以上の者」という要件が含まれます。
[注2]財界の(政府関係の審議員等)中には、(民間経営者に労働条件改善を求め)、公務員だけが、「過酷な状況の中で働いて(働かせて)いい」ということに快く思っていない(至極まともな考えですが)人もおられます。残念ながらこの人たちの力で変化があることもあるのです。
書いた人 小林敏夫(熊本教育ネットワークユニオン)