大丈夫かテレビ局
中居正広氏の「トラブル」で、テレビや週刊誌を筆頭にマスコミは日夜大騒ぎだ。
事の真相が霧の中なので自分自身は何も分からないが、この騒ぎっぷりは尋常ではない。改めてマスコミ報道というものについて考えさせられる。
それにしてもフジテレビ社長の記者会見がまずかったのは論を待たない。社長の、事件に関する弁明の内容(中身は空っぽだった)もさることながら、フジ「テレビ」が会見場から「テレビ」カメラを閉め出したというのだから洒落にもならない。
各局ワイドショーでは、連日この「問題」を報じている。が、問題の本質どころか、その「トラブル」が何だったのかさえ(敢えて)報じないから、視点も曖昧模糊としている。
巷では通常国会が始まった。いよいよトランプ政権が始まった。殺傷事件や闇バイト事件、その背景にあるだろう経済格差・貧困、社会の荒廃。さらに、まさに荒れなんとする田園の問題、気候変動、教育・・・数え上げればきりのない様々な課題がある。「視聴率」偏重の番組編成には、(一部を除いて)問題意識も知性のかけらもないように見える。
当時の安倍首相肝いりで、巨大マスコミであるNHK会長に就任した籾井勝人氏を思い出す。就任会見で竹島問題・尖閣諸島の問題について「日本の立場を国際放送で明確に発信していく。国際放送とはそういうもの。政府が右と言っているのに我々が左と言うわけにはいかない」と言った。就任早々から「戦争しているどこの国にも慰安婦はあった」などの問題発言や、衆議院総務委員会での聴覚障害者に対する差別発言・・・国会内外での多くの不適切発言を連発した。NHK職員からも「やっぱり会長は報道機関というものがわかっていない」と言われ、日放労からも反発が出ていた。就任時、理事全員に辞表を出させ、人事権を武器に独裁体制を敷いたことは記憶に新しい。内閣人事局を設置して官僚支配に乗り出した安倍晋三首相の手法だった。
安倍首相から当時の総務大臣に任命された高市早苗の国会答弁もひどい。「放送事業者が極端なことをして、行政指導をしても全く改善されずに公共の電波を使って繰り返される場合に、全くそれに対して何も対応しないということは約束するわけにはいかない」と。2016年8月8日、衆議院予算委員会での答弁だ。自信たっぷりにしゃべる高市大臣の姿に、背筋が寒くなった。ひどすぎると言っても過言ではない。戦前戦中のマスコミの大罪を思わずにはいられない。
ところで、その後、フジテレビでは社員全員での会合が開かれたそうで、「役員全員の辞任」を求めるなど、経営陣への反発が相次いだという。少しばかり救われた気持ちだ。
「鯛は頭から腐る」という箴言がある。フジテレビにもこの言葉が該当するか、興味はある。
追伸・・・そうだ、今どきは新聞も読まないしテレビも見ないという若者が多いのだ。そして彼等のニュース源はSNSだ。より過激で扇動的で非科学的なSNSも多い。さて、如何せん。
追追伸・・・世情を眺めながらふと自らの来し方行方を考える。以前はゴールに向かって走っていたが、最近はゴールが向こうから急速に近づいて来るイメージだ。さあて、如何せん。
(Trout 2025.1.26)