(2022年8月11日・木)
真夏の夜の戯作
(1)
日が沈む
光も風も花々も
その疲れた魂を
やがて憩いの中に横たえるだろう
野に生きるものたちに
再び平和と秩序が訪れる
自然とも平凡とも言える一日が過ぎていく
この日、男は国会で 80何回目かの虚偽答弁をした
(2)
野鳥の国ではもう長く自由カラス党が政権を握っていた。「鳥民議会(国会に相当)」の運営はまさに自由気まま、時に傲慢あるいは傍若無人とも言えるもので、野党のコバト民主党やフクロウ党、更に批判ばかりすると評判のハヤブサの会などの意見や要求をことごとく拒絶して、鳥民(国民)からもたびたび怒りを買う始末であった。それでも反省の色が見えないのは、選挙のたびに運良く勝利してきたからである。今、党首で首相でもあるパパゲーノが各鳥刊誌の記者たちを「鳥の家」(官邸に相当)に招き、会見を開こうとしている。
(司会者)本日は、先だって不運にして客死されたザラストロ元総理の、鳥葬についてテーマを絞って会見を開きます。その他の質問は受け付けません。
(質問1)まずお聞きしたいのはなぜ記者会見かということです。どうして議会でもっと審議しないのですか。全鳥民の関心も高まってきていますよ。
―(答)君、いちいち議会に諮っていたら話が進まないのだよ。「横暴だ」、「勝手だ」などという批判は当たらない。それに野党や鳥民の声を無視するのは、ザラストロ総理の時代に確立されたわが党の基本路線だからね。
(質問2)どうして鳥葬なのですか。全額税金を使う訳だから反発は大きいですよ。カラス党だけの党葬でよいのでは。
―(答)元総理の在任中の実績を尊重した上でのことだ。カラスノミクスは実に大胆な経済対策だったし、外交面でも数々の顕著な足跡を残された。ウサギの国やオオカミ共和国からは「葬儀に大統領を派遣する」ということで内諾も得ている。鳥葬こそふさわしい、そう判断したのです。
(質問3)カラスノミクスを過大に評価するのはどうでしょう。上がったのは株価だけと世間はとらえています。それに外交面でも、元総理が約束されたことと言えばお金をばらまくことだけ。わが国の将来の世代に益々負担をかけるのかという世論が渦巻いています。また、葬儀に外国の政治家トップが出席するというのも鳥葬の理由になっていません。
―(答)誤解を与えているのであればお詫びを申し上げる。
(司会者に「今の質問は事前に出されていたものか」と確認している。)
(質問4)誤解しているのはあなたの方ですよ、総理。何より全鳥民が怒っているのは元総理の政治姿勢なんです。鳥民のためと称して露骨な私利私欲の政策が多すぎました。甘い汁を与えて自分の賛美者と自分自身を太らせたのですよ。総理、鳥葬の本当の狙いはカラス党内の最大派閥への忖度ではありませんか。
返答はなく、「では時間ですから。」という司会者の言葉で会見は一方的に打ち切られた。会場を去る党首の口から「烏合の衆め!」という捨て台詞が洩れるのを、記者たちは聞き逃さなかった。
(熊本教育ネットワークユニオン・S)
(無知な編集者の注)
パパゲーノ:モーツアルトの「魔笛」の登場人物。「鳥刺し」を職業としている。
パパゲーノ効果などが派生する言葉としてある。
https://www.nhk.or.jp/heart-net/papageno/
https://blog.goo.ne.jp/traumeswirren/e/b6806cdc06f436d0e7751ef5fef30167
https://tsvocalschool.com/classic/wp-content/uploads/2017/07/zauberflote02.jpg
これを機会に「魔笛」を聞きたくなりました。
▶︎私たちの組合はひとりでも加入できます。▶︎教育と関係ある仕事であったらなんでも相談してください。問題解決には実績と自信があります。▶ご家族の相談でもよいです。▶「教える」仕事をしていなくとも加入できます。▶左と関係なく、困りごとがあられたらどなたでもご相談ください。適切な労働組合を紹介いたします。◆連絡先:熊本市中央区水前寺1-33-18 熊本県高等学校教職員組合気付熊本教育ネットワークユニオン宛(☎096-382-1133)