私の折々のことば⑨
神々がシーシュポスに課した刑罰は、休みなく岩を転がして、ある山の頂まで運び上げるというものであったが、ひとたび山頂にまで達すると、岩はそれ自体の重さでいつも転がり落ちてしまうものであった。 (書き出し部)
(略)
このように、下山が苦しみのうちになされる日もあるが、それが喜びのうちになされることもありうる。喜びという言葉は言い過ぎではない。
(略)
頂上を目がける闘争ただそれだけで、人間の心を満たすに十分足りうるのだ。いまやシーシュポスは幸福なのだと想わねばならぬ。 (最終部分)
カミュ 『シーシュポスの神話』(清水徹訳・新潮文庫)による。
時々そのような気持ちになります。