チューリップ ♪こんな小さな出来事に愛は傷ついて♪
先日、NHKで「ラストツアー密着・財津和夫」が放映された。財津和夫さんも74歳、デビュー50年にして「ラストツアー」を始めたそうだ。私たちの青春の曲が並ぶ。「こんな小さな出来事に愛は傷ついて、君は部屋を出て行った・・・」で始まる「サボテンの花」。スナック日高のママさんから度々カラオケのリクエストされた「心の旅」は「あーだから今夜だけは君を抱いていたい。」。「青春の影」は「・・・年老いたあなたへこの歌を届けよう。心優しく育ててくれたお礼代わりにこの歌を・・・」。懐かしい曲だ。会場一杯のオーディエンスは70歳代がほとんどとのようで、涙を流している人も。74歳にもなると、あの高い声を出すのは相当の厳しさがあって引退を決めたという。財津さんも涙を堪え切れなかった。シンガーは声が引き際をささやく。相撲取りは「気力・体力の限界」が引退を決意させる。サラリーマンは停年が否応なくやってくる。
5年前にNHK初級俳句講座に「寒つばき初期化不能の我六十五」という駄句を送り「福岡伸一先生の『新版 動的平衡』を読んでいます。精子と卵子が出会うと、その瞬間、時計のスイッチがオンになり、待ったなしに発生のプログラムが始まり、一切立ち止まらないそうです」と「作品の背景」に書いたら、添削欄に「六十五歳は今の高齢化時代にはまだまだ若者です。中七は『我はまだまだ』とします。下五『六十五』としましよう」と書かれ「寒つばき我はまだまだ六十五」とあった。
何年か前、とある講演会での先輩の質問は「私はもう七十になるじいさんで・・・」との枕詞から始まった。先日、先輩に「私も、もう古稀です」と伝えたら「まだまだ!」と返ってきた。
たちまち15万部という宣伝に乗って、成田悠輔氏の「22世紀の民主主義」を購入した。読み終えるのに随分時間がかかったが、ぼんやりとしか(ほとんど?)理解できなかった。「今の自民党の執行部には80代の後期高齢者がゴロゴロいる。彼らが社会保障や医療や年金や教育といった制度や政策を作っている。数十年先の社会にこそ影響を与える政策に、80代の政治家は一体どんな責任を取れるのだろうか?・・・政治は、無意識民主主義ソフトウエアのアップデート委ねた方が、そしてアルゴリズムで民主主義を自動化した方が楽なのでないか」と提言ずる。
自分はもちろんだが、「高齢化社会」に『ひし』と気付く今日この頃だ。
(9月25日)