2015交渉の要求の背景を解説します(その5)
(4)部活動指導に対する報酬を支給すること。
アンケートによると、部活動を2割の非常勤講師が指導していると答えていました。
また、負担感や報酬は次のように回答されています。
指導がいかなる経過で依頼されたか詳しいことは未調査ですが、仕事として依頼されたものである以上「手当」の要求は当然です。
それは、単に手当の問題ではなく、責任の問題と連動するからです。
以下、熊本県教育委員会の「運動部活動事故に関する判例と留意点」からの引用です。(下線部はブログ筆者)
難度の高い技の練習中に起きた頸椎損傷事故(高等学校体操部) (1) 事故の概要 高等学校の男子生徒(2年生)が、体操部の練習中にミニトランポリンを用いて前 方抱え込み二回宙返りを行っていたところ、マットの上に頭から落下し、頸髄損傷等 の傷害を負いました。 事故に顧問教諭は立ち会っておらず、二ヵ月前から非常勤講師をしているコーチし かいませんでした。
(2) 判例 顧問の教諭は、日頃から体操部の練習に参加して部員生徒各人の実技訓練の状況を監視 し、全体の実技の習得、熟練度の状況を把握するとともに、これに応じた各部員の練習実 施計画を立て、各生徒に周知徹底して実施させるよう指導、監督するなり、自己に変わる 実技専門の指導、実技の際の介添え役といった補助者を付け、かつ、実技の際の危険防止 のための道具、備品等を配置するなどもしてできる限り部活動中の事故防止に努めるべき 立場にあった。 しかし、同教諭は、日常の練習にほとんど立ち会ったことはなく、実技練習計画は掲示 したものの具体的に実施徹底させる指導はもとより危険防止のための具体的な指導を行う こともせず、部員の自主判断に任せていた。顧問教諭のなすべき体操競技に伴う危険防止、 安全措置を講ずべき義務を怠った過失がある。 (東京高裁:平成7年2月)
(3) 留意点 高度な技に挑戦したいという児童生徒の意欲や冒険心を大切にすることは必要です が、日頃から練習の際の基本的な安全教育を周知徹底しておかなければなりません。 また、児童生徒の技能を把握し、危険性の高い活動をさせる場合には、指導者が立 ち会って段階的な指導をしていくことが大切です。
非常勤講師の場合、指導者位置づけではありません。
この事故の場合、顧問教師の責任が問われ、事故発生時の「危険を防止する措置」が十分でなかったとして、顧問教師(コーチとしての非常勤講師ではありません)に過失が認められ、損害賠償責任を負うことになりました。何割かの過失相殺がありました。
しかし、裁判はケースバイケースです。また、自らが事故を負ったりということもあり得ます。きちんとしておくことは必要だと考え要求項目に入れました。