報道によると、7月14日、中央最低賃金審議会(中賃)の目安小委員会が、全国一律28円の引き上げをまとめた。この後は、都道府県最低賃金審議会で、この目安を巡って、攻防が繰り広げられることになる。
中賃の示した目安について、私の感想を述べておこう。
中央最低賃金審議会の目安に思う
まず、28円という引き上げ額について。
私は、00年から05年までの6年間、熊本県最低賃金審議会の労働者委員の一人だった。当時、膨大な資料を作成して議論に臨んだが熊本県の最賃引き上げ額は、0円から2円という少額に終わった。そういう時代と比べたとき、28円の引き上げは隔世の感を覚える。二つ目は、全国一律同額の引き上げ額になったことについて。
これまでは、全国をAランク(東京などの大都市圏)からDランク(福岡を除く九州、宮城を除く東北の各県など)の4ランクに分けて、目安が示されていたが、引き上げ額は、Aが最も高く、B、C、Dとなるにつれて低くなっていた。従って、ランク間の最賃額の差は開く一方だった。それが、今回は、一律の引き上げ額が示された。地域間格差の縮小に近づく第一歩と評価したい。以上、私は望ましい変化と感じている。しかし、この変化は、どうやら政府主導によるものらしい。公労使の議論によって、額を決めるというのが最賃決定の原則だが、政府の政策(意向)によって、こうも大きく変わるのだ。
これで良いのだろうかとも思う。官制春闘と呼ばれる昨今の労働運動を憂いながら、そう思わずにはおれない。
( 熊本教育ネットワークユニオン 岩本 )
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