熊本教育ネットワークユニオン

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いつか来る日のいつかを怖る

いつか来る日のいつかを怖る

▲昨年末はすいぶん「喪中欠礼」のハガキをいただいた。松が取れると何枚かの「寒中見舞い」も届く。昨日、最後の勤務地で仕事を共にした元同僚から「十二月に妻が・・・」と書いた寒中見舞いが来た。衝撃だった。▲私は1998年に父を、それから義母、義父と彼岸に送り、今年は母の七回忌を催す。母を送った後、しばらくは近親者の葬儀はないと思っていたら、三年前の暮れに長姉が72歳で亡くなった。▲そのような今の私には、連れ合いに先立たれることは「想像する準備」すらできない。身近な仲間や先輩からは、その「えも言えぬ寂しさ」を聞いた。今回の寒中見舞で、改めて人ごとではないことに気付かされ、慄然とした。▲思わず、本棚から永田和宏さんの著書を取り出した。永田さんは「宮中歌会始」の選者である。同じく選者を務めていた妻、故河野裕子さん(御船町出身)との闘病生活10年と死を「歌に私は泣くだらう」というエッセイに書いた。▲細胞生物学者で「護憲運動」にも取り組んでいる永田さんは、河野さんの死を目前にして「歌は遺(のこ)り歌に私は泣くだらふいつか来る日のいつかを怖る」と詠んだ。河野さんの最後の一首は「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」(永田さんによる口述筆記)。二人は生涯、それぞれ五百首は下らない相聞歌を詠んだという。

(ネットワークユニオン とらうと)