不祥事に思う(2)
論文・吉田道雄「教職員の不祥事に対する教職員の認識」アンケート調査による分析(熊本大学教育実践研究第36号,19-23,2019)をもう少し読み進めよう。2018年受理の論文であり現状をほぼ反映しているものと思っていいと考えるからだ。
「不祥事防止テキスト(令和4年3月改訂)」(https://www.pref.kumamoto.jp/site/kyouiku/136342.html)や「わいせつ防止研修テキスト(令和4年3月)」(https://www.pref.kumamoto.jp/site/kyouiku/136341.html)についてアンケートが行われている。
質問1 あなたは、熊本県教育委員会が作成した「教職員の不祥事根絶を目指してーあなたは大丈夫ですかー」をご存知ですか
1 知っている 49(48.0%)
2 知らない 53(52.0%)
吉田氏は「衝撃的」と述べておられるが、私もその通りと思う。尚、アンケートの対象者は主に「教員免許更新講習受講者」であり、20代から50代までの幅広い層である。
知っていると回答した者に質問2がなされている。
質問2 あなたは、それを読んだことがありますか
1 全体を通して読んだ 10(20.4%)
2 一部を読んだ 29(59.2%)
3 読んだことがない 10(20.4%)
過去に熊本県の教育現場にいたものとして、「ありえない」という気持ちと「さもあらん」という気持ちがアンビバランスに同居している。
少しでも読んだことのある者(1,2回答者)に次の質問がなされている。
質問3 それは「不祥事根絶」にどのくらい役立っていると思いますか
1 役に立っている 20(51.3%)
2 役に立っていない 12(30.8%)
私の勝手な解釈だが、全体的に流れるものに「県教委」の「教員管理」に対する不信感がこの結果から読み取れるのではないか。
人事評価・人事異動・校内の諸取り決め、自分の仕事の「頭からつま先まで」細かく管理されている。しかもその管理職は「どのようにして選任されたのか」も「本当に能力があるのか」も疑問があるものが少なくない。挙句に「この忙しい時に(意味をあまり見いだせないあるいは「有効な」時間の使い方だろうかと思う)教員免許講習(行かなければ失職)に参加させられている」状況下でのアンケートである(やや書きすぎかとも思うが正直な気持ち)。
人は自分が仕事をする集団のなかでその決定に参加している実感があることが必要だと言ったのはフロムだったか。自由を奪われ、「依存体質」に自己を変えさせられているこの学校現場を何とかしなければ、この問題だけ「わがこと」とすることは矛盾そのものではないか?。
それにしても相も変わらず「私は○○しません」(不祥事根絶宣言書)の宣誓書を出させて何かを「やった気」になっている教育行政・管理職の発想には驚く。あれは「やった方がやらないよりまし」ではなくて「やった方がやらないより害」でなのある。人の自尊心を痛く傷つける。もし、そんな自尊心さえ持っていない者だったらそれはそれで問題と思うが。もちろんこのような不祥事がありますというリストアップを否定するものではない。
参考 (クリックすると吉田論文が読めます)教師の不祥事に対する教職員等の認識
(小林敏夫)
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