年末に結婚式に招待されて
暮れも29日の結婚式に招待された。教員生活「最後の担任」をしたK農高H科の生徒の一人K君だ。最近はLINEで招待することもあるらしい。着信LINEを見ると式場が準備しているであろう「招待動画」の最後に、出欠の返事をするフォームが準備してあった。出席の返事をすると早速LINEで「楽しみに待っています」と来た。なるほど便利ではある。
式場は熊本駅前にオープンして3年経つAプラザ8階。エレベータから出るとラウンジに4年ほど前に結婚したW君の姿。もう二人のお子さんがいるそうだ。花卉農家で、蘭を父親と一緒に育てている。花は流行・すたりがあって難しいのだそうだ。時間が来て「チャペル」で着席すると、20年前と変わらないお母さんの姿。「びっくりしました」と挨拶すると、「私も、びっくりしました」との返事。そうか、お母さんもびっくりしたのだ。高校時分は(好んで?)いじられていた新郎はなかなかの男前で、お似合いの相手と結ばれた様子で嬉しかった。
披露宴の受付を済ませ「席次表」を見ると、来るだろうと想像していた同級生の名前が10名ほど。席で待つと次々と会場に入ってくる。
私「ときどきFacebookば見よるよ。がんばっとるね。お父さんも一緒に?」T「はい。親父もまだ若いけんですね」・・・そう、家庭訪問したときご両親は30代だったと思う。そしてT君本人も結婚が早かった。
S「先生、幾つになったですか?」私「あんたの2倍。同じ辰年。ところで儲かりよるね?」
S「なかなかです」(S君は柑橘農家)私「結婚は?」S「まだです。相手はおっとですよ」
私「俺を呼ぶなら、野球部のK監督に会いたいなあ」S「監督ですか!考えときます」
U君は会社の経営者。私「もう、社長になったね?」U「いや、まだ専務ですけど、親父が来年から任せるようなことを言うんです。父もまだ若いのに」私「そうか、社員に給料を払うってのは大変だろね?」U「はい、下請けだけんですね」・・・50人の社員を養うU君は会う度に貫禄が増す。
R「先生いくつですか?」私(Uを指して)「あんたたち二人を足した歳」R「へえ、先生若かばい」・・・RはUの会社で働いている。Y「先生、Rがバイクの免許ば持っとったこつば知っとったですか?」私「知っとったよ。心配したばい(卒業直前にばれそうになった)」
私「K!仕事はどうね?お母さんはお元気?」K「はい、ぼちぼちです。母も元気ですよ」・・・園芸店の店主として幅広く仕事をしていたお父さんは、熊本地震の年に癌で他界され、葬儀の出席者の多さに人望が厚かったことを実感した。周囲の方々から店を引き継ぐ息子として励まされていたことを思い出す。私「ずっと植木市に出しているんだろ。今年は行ってみよかね」
かくのごとく20年前を思い出して、皆と話に花が咲いた。必ず尋ねられたのは年齢。答は「君らの倍」。次に「何ばしよっと?」これには「教員は辞めたけれど結構忙しい」と答えると「ボランティアみたいなもん?」と尋ねるので「そうそう、そんなもん」と。そして「ここに来る前に、卒業写真とかで確認したですか?」と来た。「いや、このクラスには自信がある」と返事をしたら、感心していた。実は、卒業アルバムと閻魔帳を見たのだが「まっ大丈夫」と思って直ぐに閉じたのだ。そして、まだ結婚式に招待される可能性があることを悟ったのだった。
今日1月12日は檀那寺の新年祈祷会だった。「調査によると、人が一番幸せだと感じる年齢は83歳だそうです。欲がなくなって、生きていること全てに感謝の気持ちが湧くそうです」との法話が心に残った。そして、最後の福引きではお米1㎏が「当選」した。春から縁起が良い。
(Trout 2025.1.12)