近藤昭一(民主党=当時)さん2016年3月10日衆議院総務委員会
第190回国会 総務委員会 第7号(平成28年3月10日(木曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009419020160310007.htm
○遠山委員長 次に、近藤昭一君。
○近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。
きょうは、質問の時間をいただきましたことをまず感謝申し上げたいと思います。
質問に入ります前に、ちょっと今、同僚議員の質問を聞いていて思ったことを一言だけ申し上げたいと思います。
また、NHKの関連予算についてはこれから審議があるわけでありますけれども、籾井会長になられてから、主要な理事の方等々が退任なさるときに大変に厳しい見方といいましょうか厳しい話をされて退任されている場面が多いな、こういうふうに改めて、きのう、今、横で聞いておりまして思いました。
それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
高市大臣、私もこの総務委員会で何回か、公共サービス、国家公務員の皆さん、また地方公務員の皆さんに関連して質問させていただいてまいりました。
地方自治法によって、住民の福祉の増進を図る、それが地方自治体に役割として課されていて、それを担っているのが地方自治体の職員の皆さんであるわけであります。
そういう意味で、少子化、高齢化社会を迎えて、本当に非常に、常に重要ではありますが、ますますその重要性を高めているというところ、しかしながら、最近、大変に懸念を持つような状況がふえている。ここでも質問させていただきましたが、地方公務員のうちの今や三分の一以上の人が非正規であるということであります。多い町、村でいうと、六割以上、七割近いところもあるというような状況であるわけであります。
そして、こうした非正規の皆さんが働いている勤務時間等々を見ると、常勤で仕事をされている皆さん、正規の皆さんと比べても四分の三以上であったり、非常に長い時間、そしてまた中身を見ても、非常に重要な継続的な責任ある仕事をされている。しかしながら、平均で申し上げると、そうした皆さんの給与が大体半分ぐらいしかない、こういう状況。
もちろん、そういう中で、それぞれの職員の方、非正規の方も頑張っておられるわけでありますけれども、しかしながら、皆さんそれぞれ生活があるわけであります。そうした意味で、私もこの総務委員会で、きちっとした対応、処遇をしていかなくてはならない、それぞれの個人の、ある種の努力といいましょうか、ある種の身を削るような中でのそうした仕事に依存していくわけにはいかない、きちっとした処遇をしていかなくちゃいけない、こういう観点から質問させていただきました。
そういうことで、改めてきょうも質問させていただきたいんですけれども、公務労働における非正規の格差問題についてということであります。
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、いわゆるパートタイム労働法でありますけれども、その第八条で、短時間労働者と通常の労働者との待遇の差について、職務の内容及び配置の変更の範囲等を勘案して、不合理であってはならないとしている。そして九条では、短時間労働者について、通常の労働者と勤務内容及び配置の変更が同じであるのであれば、これの前提条件がついておるわけでありますが、賃金等について差別的取り扱いを禁止しており、十条で、通常の労働者と同視される短時間労働者を除いた短時間労働者についても、職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験等を勘案して賃金を決定するということとしているわけであります。
ところが、国家公務員及び地方公務員については、同法の第二十九条により適用除外となっているわけであります。
現在、政府では、同一労働同一賃金についての明記、短時間労働者の賃金決定の際に熟練度を考慮する仕組みを入れる、適用範囲を派遣労働者にも広げる等の法改正を検討していると伺っておるわけであります。また、格差を設ける場合の合理的な理由についても、指針を設け、具体例を示すということであります。
公務員についての政府の公式見解は、平等取り扱いの原則や職務給の原則により、常勤の職員と臨時、非常勤職員との差別的な取り扱いを禁止されており、給与についても、その職務と責任に応じて支払われているとしております。そして、現状、給与について差別的取り扱いは存在しないというものであります。
ということであるわけでありますが、大臣、ちょっと提案をさせていただきたいと思います。
派遣労働者にも同一労働同一賃金原則を適用するのであれば、これは適用すべきでありますが、地方公務員についてもパートタイム労働法第二十九条の適用除外を外してはどうでしょうか。
その際、全部を適用除外から外すことは公務員の任用との関係上適当でないところもあるため、地方公務員法に同様の趣旨の条文を入れる改正を行う必要があるんだと思うんです。それが難しい場合は、パートタイム労働法の中の同一労働同一賃金に関係が深い条文を限定的に解除する、こういう方法もあると思うわけでありますが、大臣、いかがでありましょうか。
○高市国務大臣 パートタイム労働法でございますが、これは、事業主がその雇用する労働者について主体的に雇用管理の改善を行うこと等によって、短時間労働者の福祉の改善を図ろうとする内容でございます。このため、勤務条件が法令や条例等によって定められている国家公務員及び地方公務員にはなじまないということから、適用除外とされたものと承知をしています。
一般職の地方公務員ですが、常勤、非常勤にかかわらず、地方公務員法第二十四条第一項において、「職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。」と規定されております。
また、総務省からも通知を発出しておりまして、臨時、非常勤職員の報酬等について、パートタイム労働法の趣旨にも言及をしながら、「常勤の職員の給料と同様に職務給の原則の趣旨を踏まえ、職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべきものである。」という助言を行っております。この通知の対象といたしましては、地方公務員法が適用されない特別職の非常勤職員も含まれています。
ですので、臨時、非常勤職員の職務の内容等に応じた必要な勤務条件の確保については、これまでも取り組みを進めてきておりますけれども、引き続き必要な助言をしっかりと行ってまいりたいと思います。
○近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。
確かに、公務員の皆さんに関連してはそういうことがあるわけで、平等取り扱いの原則または職務給の原則があるというわけであります。
ただ、この総務委員会でも私も指摘、質問させていただいたんですけれども、実態は、同様の仕事をしている常勤の職員の皆さんと臨時、非常勤職員とで給与等に非常に差があるわけであります。これは先ほど指摘をさせていただいたところであります。
自治体の保育士は、臨時職員や非常勤職員でも常勤の職員と同じように担任を持って仕事をしている、業務を持っているという話もよくあるわけであります。その場合、そもそもの賃金水準が低いこと、また昇給がほとんどないこと、これは非常に不合理な、差別的な処遇ではないかと思うわけであります。
先ほども指摘をさせていただきましたように、かつてよりもこうした社会が複雑になる中で、公共サービスの問題の複雑さ、また重要さがより増している。そういう中で、非常勤の人たちのより割合がふえている。こういう中で、生活にさえあるときには支障を与える、また、それぞれの皆さんの気持ちと申しましょうか、頑張っておられるわけですから、将来に対する見通し、希望のようなものに対して、こうした処遇のあり方というのは非常に不合理であり、差別的ではないかと思うわけであります。
大臣、こうした状況についてはどのようにお考えになられますでしょうか。
○高市国務大臣 まさに地方自治体における行政ニーズが多様化、高度化しています。早朝保育ですとか延長保育への対応もしなければいけませんし、少人数学級への対応もしなければならないということだと存じます。
臨時、非常勤職員の任用、勤務条件につきましては、先ほども答弁をさせていただきましたとおり、各地方自治体が法令に基づいて、任命権者として責任を持って適切に対応いただくべきものでございます。
総務省からの通知の中で、報酬等については職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべきこと、時間外勤務をした場合、これに対する報酬を支給すべきこと、通勤費の相当分については費用弁償として支給をすることができることなどの助言を行いました。
この通知の発出後でございますけれども、各地方自治体の実情を伺いながら、その周知徹底を図っております。昨年の春からことしの一月にかけましても、たびたびこの周知の会議を開いております。
特に極端な例など、委員がお気づきの点がございましたら、法の趣旨に反するような事例がございましたら、またぜひ御教授ください。
○近藤(昭)委員 ありがとうございます。
新藤前大臣のときにも何回か指摘をさせていただいて、前向きに対応していただき、今、高市大臣の方からも、そうした現状に対して指摘があればしっかり対応していくということの決意をいただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、先ほども指摘をさせていただいた同一労働同一賃金、大きな枠で同一労働同一賃金を考えれば、同じ労働者として、民間の労働者と公務員とで考え方に違いを設ける必要はないはずだとやはり思うわけであります。
今後、政府内で検討が進められるのであれば、公務員についても検討の範囲内に含めるべきではないでしょうか。政府の見解を求めたいと思います。
○新原政府参考人 お答えをさせていただきます。
全体の考え方でございますけれども、希望出生率一・八、介護離職ゼロという目標を達成するためには、働き方改革の実行が不可欠であるというふうに考えておりまして、御指摘の同一労働同一賃金の実現は、その働き方改革の重要な柱と考えているところでございます。我が国の労働者の四割を占める非正規雇用で働く方の待遇改善は急務であるというふうに考えておるところでございます。
一億総活躍国民会議で議論をいただいた上で、この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいて同一労働同一賃金の実現の方向性をお示ししたいと考えておるわけでございますが、議論については、もちろん公務員を排除しているわけではないんですが、現在、主に民間企業を念頭に置いての議論になっているところでございます。
一億総活躍の趣旨はもちろん尊重される必要があるというふうに考えておりますが、他方、先ほど大臣の方から答弁されましたとおり、勤務条件等が法令によって定められている公務員の場合と民間の職員を全く同列に論じることも難しいというふうに一方で考えているところでございます。
○近藤(昭)委員 大臣からも指摘が、指摘というか言及があったようなことでありますが、非常に実態として厳しい状況の中である。民間で働いている方々の四割が非正規である。そして、同時にまた、公務員の仕事の中でも非常に、三分の一以上が今非正規である。このことについて、やはり私は、同じ働く人であるそれぞれの人が一生懸命頑張って仕事をし、そして生活しておられるわけですから、これはしっかりと対応していっていただきたいと思うんです。
そういう意味では、国家公務員の待遇格差と同一労働同一賃金適用についてどのようにお考えであるかということを、改めてお聞きしたいと思います。
○川淵政府参考人 お答え申し上げます。
一億総活躍の議論に対しましては、先ほど答弁ございましたけれども、私どもも民間を主として念頭にということでございますが、公務員を排除しているわけでもないということでございますので、適切に対応してまいりたいと思います。
国家公務員につきましては、給与等の処遇につきましては、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給されるということでございまして、具体的には、人事院の通知に基づきまして対応されているところでございます。
私どもといたしましても、各府省に対してはこの法律あるいは通知の趣旨を徹底するように指導しているところでございますし、また、各府省各官署における実態も適切に把握する必要があると思っておりまして、実際にその実態把握についても検討しているところでございます。
以上でございます。
○近藤(昭)委員 それでは、地方公務員についてはいかがでありましょうか。大臣の御所見をいただければと思います。
○高市国務大臣 ニッポン一億総活躍プランにおける取りまとめの対象については、先ほど内閣官房からお話があったようなことだと承知しているんですけれども、今後、一億総活躍国民会議などにおいて、地方公務員の議論になった場合には、私も積極的にその議論に参加し、しっかりと理念を申し上げてまいりたいと思っております。
○近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ、大臣もそうした実情についてはよく御存じだと思いますし、また、さらにいろいろとそうした状況に対応していただくようお願いをしたいと思います。
それでは、臨時、非常勤職員の実態調査、今大臣からもいろいろとそういう実態を見てしっかりと対応していくというお話があったわけでありますが、ことし一月十九日の参議院の内閣委員会でありますが、我が党の相原久美子議員からの国家公務員の非常勤職員についての実態調査に関する質問に対して、河野太郎大臣から調査を行いたい旨の答弁があり、四月に内閣人事局が調査を行うこととなっていると聞いております。
地方公務員の臨時、非常勤職員については、二〇一二年四月に臨時、非常勤職員に関する調査が行われて以降、新たな調査が行われていないわけであります。
また、二〇一四年には、総務省が「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」の通知を出し、自治体によって通知を踏まえた任用根拠の変更等が行われているという話も聞いております。
前回調査から四年も経過していることから、総務省の通知が各自治体でどのように活用されているかも含め、地方公務員の臨時、非常勤職員についても早急に実態調査を行うべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。
○高市国務大臣 臨時、非常勤職員の任用、勤務条件等に関しての通知が発出されたのが、平成二十六年七月でございます。この通知の内容が非常に多岐にわたっているということ、それから市町村を含めて各団体の状況がさまざまであることから、まずは地方自治体に理解を深めていただくということで、さまざまな会議の場を通じて、この通知の趣旨について周知徹底を図っているところでございます。去年からことしにかけての各会議でございます。各団体では、それぞれ実情に応じてではございますけれども、この通知の趣旨を踏まえた対応について検討を進めていただいております。
臨時、非常勤職員の実態調査については、前回が平成二十四年の四月でした。必要に応じて三回実施してきておりますけれども、次回は、やはりこの総務省通知を受けた各地方公共団体の取り組み状況の把握を主な目的とすることになると存じます。
この地方公共団体における通知を受けた検討というのが、各方面とのさまざまな調整も必要としますし、一定の期間を要すると認識しますので、今後、地方公共団体の取り組み状況を見きわめた上で、適切な時期に実態について調査を実施して、その取り組みの進捗状況はフォローアップしてまいります。これがやはり臨時、非常勤職員の必要な処遇の確保につながる大切な取り組みだと考えております。
○近藤(昭)委員 大臣、ぜひ、その通知が出て、その活用がどういうふうであるかということも含めて、私は早く実態調査を行うべきではないかというふうに思っています。
それでは、余り時間もないので次の質問に行きたいと思いますが、地方公務員の公務災害についてお聞きをしたいと思います。
厚生労働省は、毎年、石綿労災認定事業場名を公表しておるわけでありますけれども、公表の趣旨についてお答えいただきたいと思います。
○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
石綿は、原料から製品さらには建物に至るまで、特定の地域や用途に限定されることなく、幅広い業種で、さまざまな作業態様において使用されておりました。また、石綿による疾病は、石綿暴露から三十年から四十年を経過した後に発症するという特殊性がございます。このため、労災保険給付等を確実に実施するためには、広く注意喚起を行うことが必要だと考えております。
そこで、厚生労働省におきましては、石綿関連疾病、疾患によりまして労災認定や特別遺族給付金の支給決定を行った労働者の方が所属をしていた事業場につきまして、その事業場で過去に就労していた労働者の方々に対して石綿暴露作業に従事していた可能性があることを注意喚起すること、当該事業場の周辺の住民の方々にも御自身の健康状態を改めて確認する契機としていただくこと、それから、関係省庁、地方公共団体等が石綿健康被害対策に取り組む際の情報を提供することという三つの観点から、これらの事業場の名称、所在地等の情報を公表させていただいているところでございます。
○近藤(昭)委員 それでは、地方公務員災害補償基金や基金支部審査会、基金審査会が認定した石綿公務災害の数と事由を簡単にお答えいただければと思います。
○北崎政府参考人 お答えいたします。
石綿関連疾病に係る公務災害について、平成二十六年度に地方公務員災害補償基金において認定された件数は七件、支部審査会で公務外が取り消された件数は一件であり、本部審査会で公務外が取り消された件数はございません。
以上でございます。
○近藤(昭)委員 ありがとうございます。
率直な感想でありますが、厚生労働省が発表しているものに比べると簡素で形式的ではないかという嫌いがあると思うんですが、特に詳細なデータを公表できない規則あるいは理由があるかどうか、いかがでありましょうか。
○北崎政府参考人 お答えいたします。
特に詳細なデータを私どもが公表できない理由というのはございませんで、私どもが今公表しております現状を御説明させていただきたいと思います。
過去に就労していた労働者への注意喚起という観点から、地方公務員災害補償基金から各地方公共団体に対しまして、「公務上死亡災害の発生状況」という冊子で毎年度情報提供を行っておるところでございます。具体的には、地方公務員の石綿関連疾病に係る公務災害の認定事例につきまして、事例の概要、団体区分、災害発生年月、傷病名につきまして情報提供を行ってきておるところでございます。
以上でございます。
○近藤(昭)委員 最後にちょっと大臣にお伺いをしたいと思います。
今、公務員部長からも報告がありました。きちっと注意喚起のために公表しているということでありますが、ただ、やはりどうも、国家公務員に比べて地方公務員についてはまだ不十分ではないかと思うんです。
厚労省の方からも話がありましたし、また公務員部長からも話がありました。注意喚起の重要性、そういうこともあり、厚労省からは三つの理由があったということでありますが、総務省あるいは基金も、さらにその趣旨に応じてより詳しい情報を公表していくべきではないか。今のお話ではきちっと公表しているということでありますが、より詳しい情報を公表すべきではないかというふうに考えるんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○高市国務大臣 ありがとうございます。
この公表に当たりましては、まだこの認定件数が少なくて、具体的な団体名、あと事業所名を公表するということによって個人が特定されてしまうというおそれがございますので、そこのところに留意しながら慎重に検討をしてまいりたいと存じます。
○近藤(昭)委員 それぞれ事情があるわけでありますが、しっかりとお願いをしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。