熊本教育ネットワークユニオン

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「信なくば立たず」

「信なくば立たず」

 「子貢(しこう)、政(まつりごと)を問ふ。子(し)曰く、『食を足らし、兵を足らし、民(たみ)之(これ)を信ず。』と。子貢曰く、『必ず已(や)むを得ずして去らば、斯(こ)の三者に於いて何をか先にせん』と。曰く、『兵を去らん』と。子貢曰く、『必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何をか先にせん』と。曰く、『食を去らん。古(いにしへ)より皆(みな)死有り。民(たみ)、信(しん)無くば立たず』と。」

   子貢(孔子の高弟)が「政治(の要諦)とは何か」を孔子先生に尋ねたところ「食糧(を豊かにして国庫)の充実をはかること、軍備を整えること、人民が(政治を)信頼することだ」と先生は答えた。「どうしてものときは、三者のいずれを捨て去るか」と尋ねると「軍備だ」と答えた。さらに「残る二つから捨て去るとしたら」と尋ねると「食だ。昔から人は必ず死ぬが、民の信頼がなければ政はなりたたない」と答えた。

高校の漢文で学習する「論語」の「顔淵第十二の七」だ。

   小泉純一郎元首相が演説で引用し有名になった「信なくば立たず」は、政治家がよく使う言葉だ。なんと、安倍晋三前首相までが何度も引用し、その厚顔ぶりに驚いた。(ちなみに安倍晋三氏は、それまで「首相を辞任する」ことを意味した「任命責任は私にあります」という言葉を「確かに私が任命したが、それが何か・・・?」という意味に貶めた。)小泉政治による派遣労働の拡大以降、「非正規」労働者は溢れ、食べることさえ厳しい国民も少なくない。新型コロナ感染症には太刀打ちできないと政権を投げ捨てた安倍晋三首相。在任中は米国の要請に軍事費を増やし続けた。報道によると来年度(2022年度)の防衛予算要求額は過去最高の5兆4千億円で、GNPの1%を超えるらしい。森友・加計・桜、赤木さんの自殺・・・数え上げればきりが無い。安倍氏(とその仲間)によって「政治」は地に堕ちた。そして、菅義偉首相の後手後手の対策で感染症は第五波、蔓延を招いてしまっている。名古屋入国管理事務所でのウィシュマさんへの仕打ち(殺人?)と入管・法務省(大臣)の対応も酷すぎる。安倍に引き続き、菅内閣の面々もまた日本政治を崩壊せしめている。

   内閣支持率は30%を割った。「信」は、とうの昔に無くなっている。

(とらうと)