熊本教育ネットワークユニオン

活動の報告と相談の窓口です。またブログ担当者の学習の跡でもあります。過去の記事をご覧になるときは下のメニュー欄をクリックください

MENU

近頃思い悩んでいた疑問

放送大学はいろんな刺激を与えてくれる。「化学構造論」や「化学反応論」を見ながら(この見ながらが現実)、分子や原子の世界の学問である「化学」では電子の状態を考えること、つまり電子の振る舞いを量子力学で整理することが重要であると、今更ながら知らされる。

量子力学は原子や分子の世界を解釈する優れたアイテムである。20歳のころからその理解に何度もチャレンジしたがその山は私が登ることを許さない。量子力学の山を下から眺めるか、隣の山の麓でうろうろ(量子化学の応用部分を利用した程度)してきた。

▶今回70歳を過ぎてもう一度「登り始め」の所だけでも挑戦してみようと思った。「登り始め」とは「前期量子論」というところである。つまり量子力学が建設されたところの考え方に触れてみたいと思った。量子力学物語で通常最初に登場するのは「黒体輻射」(空洞輻射)の研究である。

▶19世紀も終わりのころヨーロッパ諸国の製鉄業の要請から「融解してドロドロの液体になっている鉄の温度を測ること」が科学技術上の課題とされていた。物は燃えると温度が低いときは赤い色で燃え、温度が高くなると青白くあるいは白くなる。その色と温度の関係を研究する中から従来の古典力学ニュートン力学)では説明できないことが出てきた。そしてプランクが「量子仮説」を提案する。

▶ところで、この時代の技術者・研究者たちはこの研究課題を解明するに必要な高温(1,000度とか3,000度の)はどのようにして測っていたのだろう。高温で測定できない温度を炎の色から類推する研究をしているのにそのデータを集める基本的な実験の方法はどうだったのだろう。

▶こんなことを考えていると、疑問が深まり「まあ、どうかして調べてんだろう(そこは置いといて)」と思いながら先へ進めことができなくなる。こうなると挫折は近いと思う。そんな時まず「人に聞く」、次にネットで知って良そうな人を探しメールで質問する、最後に(というかもちろん同時に)自分でも調べる。今回は自分で調べるがヒットした。

▶ウィーン(Wien)(ドイツの物理工学研究所)が1892年白金―白金ロジウム合金の熱電対を使用して1,000度を超える温度を測定したとの記述を見つけた(『科学史研究』,45(2006))。ああよかった、1週間の疑問が解けた。さあプランクの量子仮説の世界へどっぷりとつかろうか。

(kob)