今週の詩・・・その1・・・
・・・・・・昔の少年は、ポケットの中に詩集をひそませて、折に触れてページをめくったという。
現役のころ「今週の詩」というのをやった。毎週、最初の授業で、5分ぐらいを使って配布した詩を読むという、ただそれだけのことだが、悪評ではなかったと思う。
日曜日、また「ブログ」の執筆が回ってきたが、たまには「今週の詩」で責を逃れようと思うに至った。お許しを。
今週の詩①
「郷愁」
蝶のやうな私の郷愁!・・・・・・。
蝶はいくつか籬(まがき)を越え、
午後の街角に海を見る・・・・・・。
私は壁に海を聴く・・・・・・。
私は本を閉ぢる。私は壁に凭(もた)れる。
隣の部屋で二時が打つ。
「海、遠い海よ! と私は紙にしたためる。
------海よ、僕らの使ふ文字では
お前の中に母がゐる。
そして母よ、仏蘭西人の言葉では、
あなたの中に海がある。
(『測量船』第一書房 1930年)
注)仏 m è r e 母
m e r 海
編集者)のいたずら仏訳 ?あっているかな?
Le mot mer a une mère
La mer est la mère de tout