熊本教育ネットワークユニオン

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一瞬の天体ショー・・・宇宙の歴史138億年

一瞬の天体ショー・・・宇宙の歴史138億年

 11月8日は皆既月食だった。今回は442年ぶりの惑星食だそうで、テレビでも新聞でも、えらく盛り上がっていた。「天王星の惑星食」は弥生時代以来だと言う。宇宙空間と時間との関係に思いを馳せた。

 夕食後ベランダに出て空を眺めたが、あいにく我が家は屋根・壁塗装のため足場にネットが張ってあって見えない。外に出ると、満月の左下が既に蝕されていた。市内ではここ数年、星座も見ることができないから惑星蝕を観測することなど初手から諦めていたが、翌日の朝刊で天王星のあまりの小ささを見て、それが正しかったことを確認した。

 現役の頃、授業中に「江戸時代を生で見ることは出来る。300光年先の宇宙にステーションを建設して、そこに『瞬間移動』する。超々精巧な望遠鏡で覗けば300年前の光、つまり江戸時代が見えるだろう。どうだ、そう思わないか?」などとちょっかいを出したが、残念ながら反応は薄かった。しかし、ハッブル望遠鏡が捉えた「ビッグバンの6億年後、宇宙創生期、宇宙最深部の銀河群」の写真を見て、空間的距離と時間的距離の不思議に打たれるのは私ばかりではなかろう。ひるがえって日本の、いや世界の政治状況(人間のありよう)を考えるにつけ、せっかく与えられたこの上なく美しい地球に生きるちっぽけな市民として、宇宙140億年の歴史に申し訳なくてたまらない。人類は地球上最も有害で短命な生物として葬られてしまうのだろうか。

 皆既月食の翌日早朝、柴犬小太郎と散歩に出ると、東の空は立田山の山際が赤みを増していて、西の空には昨日にも増して大きく見える満月が、世紀の天体ショーのことなどすっかり忘れてしまったように、白い光を放って静かに沈もうとしていた。

 

「ひむがしの 野にかぎろひの 立つ見えて かへり見すれは 月かたぶきぬ」 柿本人麻呂

(11月13日)