「戦争は最大のビジネス」
前回書いた「ダニー・ネフセタイさんと話してみよう」という講演会で、「何故戦争は終わらないのか」という問いに、「あちこちで戦争が起きているというのは錯覚で、世界の大半の国では平和が保たれているのであって、『戦争は人間の本能』等というのは間違いだ」そして「戦争が終わらないのは、武器で莫大な利益を上げる企業があるからだ」と述べた。
第二次大戦直後、米国トルーマン大統領政権下で政府参謀を務めたチャールズ・エドワード・ウィルソンは「米国が直面している二つの課題は、外敵としてのソ連と内敵としての労働者だ」と述べ、「両方を封じ込める方法は唯一、軍事予算を大幅に拡大し武器を量産することだ」と言ったとか。この考えは今に至るまで、連綿と引き継がれているようだ。
第二次世界大戦以降、私が知っているだけでも「朝鮮戦争」「ベトナム戦争」「湾岸戦争」「アフガニスタン紛争」「イラク戦争」・・・その他にも、世界の警察を自認する米国は数々の紛争に関わってきた。そのたびに「武器の在庫一掃だ」あるいは「新しい武器の展示会だ」と批判されてきた。現在でも、ウクライナ戦争あるいはパレスチナでの虐殺に、その血塗られた手を突っ込み続けている。
昨年12月22日、日本政府は「防衛装備移転(武器輸出と言わないところが馬鹿馬鹿しい)三原則」と運用方針を改定し、ミサイルや弾薬など殺傷能力のある武器輸出の解禁に踏み切った。三原則は閣議、運用方針は国家安全保障会議(NSC)で決定され、国会での議論がないばかりか、議事録も非公開になっているらしい。
三菱電機電気通信システム製作所では尼崎などいくつかの工場で、1千名を増員し、7百億円をかけてミサイルや戦闘機を探知するレーダーの生産拠点を作るそうだ。同社はすでに警戒管制レーダーをフィリピンに輸出。契約金額は4基で約140億以上になるという。武器を製造する企業にとって、輸出解禁や防衛費の大幅な増額は垂涎の政策に違いない。ちなみに防衛省との契約金額4位の同社は、自民党国民政治協会へ2千万円を献金している(2020年)。三菱重工業をはじめとする防衛産業の献金額を見ると、今話題の「政治と企業との癒着」を痛感する。
着々と戦争の準備は進められている。
今日は「沖縄慰霊の日」。「戦争をしないと誓った日本国憲法の下で暮らしたい」と沖縄返還闘争を闘った先人に申し訳が出来ない。
(Trout 2024.6.23)