侏儒の呟き(19)
〇「緊急事態条項」だの、「能動的サイバー防御法」だの、侏儒(素人ながら政治に口出しする者)が油断しておればこの国の政府は次々に反動的な法律を作る。大手メディアも時事問題に追われてばかりで思想のない報道姿勢を取り続けるから、着々と戦時体制が築かれていることにさえ国民は鈍感になる。
〇新しいエネルギー基本計画で、政府は原発を最大限に活用するという方針を決めたそうだ。15年後の全電源に占める原発の割合を2割程度とするというもの。しかしその為には、「30基を超える既存原発のほぼ全ての再稼働が条件になる」(2月14日、共同通信)。原発を巡っては各地で電力会社と住民との間で抗争や裁判が行われている現状だ。それら一切を無視して、「脱炭素」に名を借りた、一か八かの危い構想である。
結局、大震災時の甚大な事故の発生とその結果から何も学ぼうとしないということだ。その怠惰な態度には驚きを通り越して怒りが湧いてくる。自民党政府と一部野党、及び電力会社の癒着とはかくも強いものなのか。もし同じ規模の事故がもう一度起こるなら、その時やっと立ち止まるのだろうか。それともフクシマは天災であった、スリーマイル島やチェルノブイリとは違うと思っているのだろうか。
〇プーチンとトランプ。戦争状態にあるか否かで両者の立場は全く違っているように見える。が、実質的に二人は何ら変わらない。一方は土地収奪への飽くなき欲望。他方は富に対する執拗なる欲望。大国であることを利用して親分風を吹かせているところも見事に一致。トランプが仕掛けているのは経済戦争であり、世界市民が抱く安寧平和への願望とはほど遠いものだ。繰り返すが、トランプもまた戦争仕掛人である。
〇世界中の経済と株価を混乱に陥れるのがアメリカの正義であるとは、きわめて尊大、余りにも身勝手な態度ではないか。世界は協調で成り立っているのだ。「アメリカが世界に与えてきた富を取り返す。」というのがトランプの政治生命らしい。が、その為にはどんな手段も許されると思っているなら、それは彼の大いなる誤解であると言わねばならないだろう。大統領が持つ権限は強大かもしれないが、その行使が度を過ぎるなら、いずれは裸の王様同然、身近な者さえ進言、忠告をためらうようになるだろう。そうなるともう、自分の手柄を自分で吹聴するしかなくなってくる。既にそれは始まっているようにも思えるが。
〇米中の関税合戦について。両国の報復合戦は素人目にも面白かった。さながら発情期のオス猫どうしの喧嘩のようで、一方が大きな声を出すと他方はもっと大きな声を出す。唸ってみせればもっと大きな唸りで威嚇する。結果、125パーセントと145パーセントという笑うべき数字に吊り上がった。猫の場合はどちらかが一瞬パンチを出す、もしくはパンチを出すと見せかけて一目散にその場を離れてケリとなるのだが、件の両国の場合は中国が「もう付き合ってられない」とばかりにチキンレースを降りてしまった。傍目にはどこまでエスカレートするだろうと期待していたのに、残念だった。
~オウシャン・セイリング~
