熊本教育ネットワークユニオン

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本工労働運動からの脱皮 ~「県立学校臨時調理員組合」の取組③~

本工労働運動からの脱皮 ~「県立学校臨時調理員組合」の取組③~

 

 「県立学校臨時調理員組合」の第三の課題は「年休の獲得」だった。三分割の任用ではあるが、次期の任用は確実に予定されており、何年も任用され続けている「臨時調理員」に、年次有給休暇が付与されるのは当然ではないかと考えた組合は、毎年の県教委への要求項目の一つに「年次有給休暇の付与」をあげた。当局の回答は、労働基準法第39条を楯にとって「六ヶ月の継続勤務」をしていないから「年休を与える要件が整っていない」という回答に尽きた。当時は、労働基準法の改正で、最低付与日数が6日から10日に引き上げられ、比例付与も認められるようになった時期であった。高等学校などに勤務する非常勤講師も勤務日数に比例しての年休取得が可能になった(1990年~)のである。県教委に対しては、「そもそも学期が始まれば採用することを予定した離職であるから、継続勤務と捉えるべきである」あるいは「通年雇用にし、『労働日は課業日』とすることで年休付与を可能に出来るのではないか」などと追及した。なかなか埒が明かないので、組合は「労働基準監督署」で決着することを模索した。監督署でまず言われたのは「公務員でしょう。それは県の人事委員会の管轄ではありませんか」だった。つまり、「臨時調理員」が「地公法適用除外」であることを説明することから始まったわけだ。監督署に正式な「申立書」を提出し年休権獲得を闘ったが、最終的には、休業期間中に「失業手当」を受給していることが「継続勤務」の壁になり、失業手当受給と年休取得は、組合員にとっては天秤にかけるまでもないことであり、私が、調査給対部長として在任した4年間で年休獲得を勝ち取ることは出来なかった。

 「本工労働運動からの脱皮」を目指していた熊本県高等学校教職員組合は「臨時調理員組合」の闘いと前後して、「理科・『障害』児担当実習教師の2級格付け」、「学校司書・技師の退職不補充の撤回」、「臨時採用講師の通年雇用」、「非常勤講師の年休・通勤旅費の獲得」など「少数職種」の勤務労働条件改善に成果を上げてきた。そして、松橋高校での「PTA偽装解散による団体費雇用職員の解雇」などを闘う中で、現在の「熊本教育ユニオン」が誕生した。その後も「行政改革」「教育改革」の名の下に、教職員への攻撃は以前にも増して強まり、少数職種のみならず、学校に働くすべての教職員の労働条件は厳しさを増している。

 日本の労働者(労働界)の現状を俯瞰するとき、故寺﨑幸男元高教組執行副委員長の「本工労働組合からの脱皮」という言葉の重み、普遍性に、私は改めて気付かされている。        (完)    

       (ネットワークユニオン とらうと)

編集者注)前投稿の①および②  は下で読むことができます。

① https://kenu2015.hatenablog.com/entry/2021/11/12/150631

② https://kenu2015.hatenablog.com/entry/2021/11/20/115846 

 

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