熊本教育ネットワークユニオン

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夢のその先は……(その2)

         

                          夢のその先は……(その2)
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 3年生の選択授業「英語会話」のクラス(8人)で、 What is your dream trip ?  をやってみました。外国語指導教員(ALT)の発想で、①どの国(都市)へ行きたいか、②誰と一緒に行くか、③何を持って行くか、④そこで一番やりたいことは何か、など、生徒たちが答を出しやすい(と思われる)質問を用意して授業に臨みました。まずALT自身(フィリピン出身・女性)が自分の「夢の旅行」を語ります。ロンドン市内のバッキンガム宮殿やタワーブリッジの美しい写真がスクリーンに映し出されました。次に、彼女と私でデモンストレーションをやってみせます。私は「ニュージーランド。美しい湖や山々を見て回りたい。若い女性と一緒に、双眼鏡を携えて。」などと答えます。では皆さんもやってみましょう。ペアを組んで①~④を…。
 ところが、うまくいかない。まず①で躓いてしまう。「え、どこにしようか。考えたこともないので…」という迷いが顔に表れています。「これは夢なんだからね、現実を忘れていいんだよ。月へ行きたいと言ってもいいんだ」などと私が助言します。遠慮がちに沖縄や北海道を出してくる子もいますが、さてそこで何をしたいかと問うと具体性がない。英語で表現する事の難しさもあります(すべての生徒が英語が得意というわけではない)が、夢さえ見たことがないというのが彼らの現実のようでした。というのも、現3年生は入学と同時に休校で高校生活がスタートし、数々の学校行事も修学旅行も諦めさせられた学年なのです。教師たちが想像する以上に、彼らは現実の重さに押さえつけられた世代ではないかと思いました。

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 「夢を語る」という時、それは一般的には希望に満ちたものであり、心に美しい絵を描くことです。私にとっては血圧を安定させることでもあります。ところが、そんなふわふわした、実体のない、メタフィジカルな夢想とはおよそかけ離れた、生死の境から命を見つめながら「夢」の実現にむけて血みどろの闘いをした人たちがたくさんいたことを私たちは知ります。この文章を書いている時にも、次のような詩に出会いました。
      夢を見る
      鳥を夢見る
      鳥になってどこかへ
      飛んでゆく夢を狂おしく夢見る    
        (「金芝河作品集」、5月11日、熊日新聞「新生面」より転載)
      
 1970年代、韓国は民主化運動に揺れました。この人はその運動の中心的な担い手だったものの、弾圧され捕らえられ、死刑を宣告されたそうです。上の詩は獄中で書かれたもの。したがって幾分か抑えた内容になっているかもしれません。それでも、鉄格子の外に流れる自由な空気(それはまたやがてやってくる明るい祖国に流れる空気でもあったでしょう)を求める気持ちがひしひしと伝わってきて、心が痛みます。

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 獄に繋がれた民主運動家といえば、アメリ公民権運動の担い手たちも、ネルソン・マンデラ元大統領もそうだったことを思い出します。近くは香港の市民運動家たちもそうです。人が人らしく生きることを求める闘いは、最も純粋にして最も根源的な闘いであるに違いないと確信します。しかし時の権力者にとっては彼らは国の秩序をを乱す大悪人となってしまうのです。
 獄にこそ繋がれずとも、法の不備や行政の不作為に縛られて、今なお偏見や差別に苦しむ人たちが多数いることを、私たちは知っています。例を挙げればきりがありません。たとえ彼らと同じ動きはできないにしても、少なくとも向き合うことはできる。寄り添うことはできる。知っている以上、背を向けることは許されない、それが一市民としての最低限のつとめであると、改めて確認したいと思います。(まるで壊れたハンドルで運転しているかのように、文章が予期せぬ方向に展開してしまいましたが、このまま残しておくこととします。)
                    熊本教育ネットワークユニオン・S

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