熊本教育ネットワークユニオン

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秋葉原事件に思う

秋葉原事件に思う

 「ロストジェネレーション」本来は大恐慌頃のアメリカ小説家を指す言葉だったらしい。日本ではバブル崩壊後の就職氷河期世代を指すという話題のネット記事を読んでみた。今世間を騒がせている銃撃事件の容疑者もこの世代に当たるそうだ。

 先日秋葉原無差別殺人事件の犯人の死刑が執行された。なぜ今なのかとも思えるが、この事件以後、他人を巻き込み自殺や死刑を望む事件が多くなったような気がする。京都や大阪、電車内での放火事件や障がい者施設での無差別殺害事件など、枚挙に暇がない。犯人のそれぞれの背景に違いがあるとは思うが、犯人の社会的孤立は共通しているのではないだろうか?

 就職氷河期といわれた後、日本の労働人口非正規労働者の割合がうなぎ登り。以前は学生や配偶者が多かった非正規労働者。当初は高度技術者に限られていた派遣労働が、製造業での派遣労働が認められた後、世帯主の非正規労働が増えた。その結果、平均年収が200万台の世帯が急増していく。若者は結婚できず、出生率も下がるばかり。親ガチャという言葉が示す教育格差も拡がるばかり。現実社会の閉塞感がネットというバーチャルな社会に向かって行く。ネットという社会で生きていた秋葉原事件の犯人の動機が、ネットで否定されたことも大きかったという。今回の銃撃事件の容疑者の背景にある統一教会も、見逃しにできない大問題だと思うが、もし就職がうまく行き、収入が安定し家庭を持っていたら、あの銃撃事件を起こしていただろうかというコメントもあった。

 新自由主義の掛け声のもと、小泉内閣規制緩和を進めていた竹中平蔵総務大臣が、先日パソナの代表を辞めていたそうである。オリンピック利権絡みで騒がしくなったこの時期にである。もともとパソナの創業者は、寿退社と言われ家庭縛られていた女性の働き口を非正規雇用で保障しようとパソナを創業したという。竹中氏がこの創業者と対立しパソナの代表になった後は、自分が作った法律を使い派遣労働の斡旋により急成長していく。「労働人口の流動化が日本経済を再建する」というのが彼の持論である。因みにこの時の総務副大臣が菅前総理。幹事長が安倍元総理。統一教会の宗教法人格を取り消すべく警察当局が動き出した時に、政治の力で待ったがかかったのもこの時期。そして、銃撃事件後オリンピック利権の捜査が表に出てきた。もう待ったをかける政治家がいなくなったということだろうか?

 バブル崩壊後の失われた30年という中で形成されてきた「ロストジェネレーション」という社会構造の不安定化という問題も、今回の銃撃事件の背景にあるのではないかとも思えるのだが…

( KI )