テレビ放送と動画配信
近頃の若者はテレビを見なくなったと聞く。テレビ放送開始70年、私の人生と同じ長さである。朝起きたら、テレビのスイッチを入れる。以前は家にいるときは一日中つけっぱなし状態だった。今は昼間はあまりつけなくなった。
幼い頃、家にテレビはなく隣の家に見に行っていた。小学生の頃、家に白黒テレビが来た。真空管式のブラウン管テレビだから、スイッチを入れてもしばらく画も音も出なかった。昼間は放送がない時間があり、テストパターンが映った。テレビを見ながら食事するのが日常になった。
熊本でNHK2放送に民放1局のVHF放送にUHF民放1局が加わったとき、UHFアンテナとチューナーなどを量販店で買って自分で取り付けた。チャンネル数が少ないので、東京のキー局の放送が今よりもっと混ざっていた。
小学生の頃、「ローンレンジャー」、「スーパーマン」、「アンディー・ウィルアムス・ショー」などのアメリカの番組などがあった。「ルーシー・ショー」や「奥様は魔女」に出てくる豊かな生活様式や自家用車がある生活なんてほど遠いと思っていた。
「チロリン村とくるみの木」、「白馬童子」、「隠密剣士」などの日本の番組も懐かしい。生放送の時代劇ドラマもあった。役者が台詞を忘れて、教える声が聞こえたこともあった。
CGもない時代にカメラワークなどを工夫した冒険活劇や特撮番組もあった。「怪傑ハリマオ」は出演者などは忘れたが、「真っ赤な太陽燃えている 果てない南の大空に・・・・」という三橋美智也の朗々とした歌声は忘れられない。「ナショナルキッド」は番組スポンサーそのものの名前だし、「鉄人28号」は実写で人が入った着ぐるみのロボットだったし、「月光仮面」が乗っていたのは原付みたい小ぶりなバイクだった。
特撮番組はなんと言っても「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などの「ウルトラシリーズ」だった。「ピグモン」や「バルタン星人」など多くの怪獣が記憶にある。初めの頃のシリーズのウルトラマンは名前も姿も頭に浮かぶが、後のシリーズでは分からなくなった。円谷プロが制作で経費の節減もあっただろう、映画のコジラがエリマキトカゲのようにして出てきたこともあった。
いつの頃からかアニメと言うようになったが、テレビ漫画もよく見た。「鉄腕アトム」「エイトマン」「スーパージェッター」など、主題歌も頭に残っている。毎週放送で制作時間が短い上に経費削減のためだろうか、同じ画像がよく使われていた。
何はなくともテレビという感じで、とにかく見た。父がニュース解説なんかを見ていると、早く終われなどと思っていた。
カラー放送は割と早く始まったようだが、家にカラーテレビはなかなか来なかった。BS放送、ハイビジョン放送が始まり、テレビ画面が4:3から16:9のワイド画面に。地上波アナログ放送から、地上波デジタル放送になったのは2011年だそうだ。東日本大震災が起きたので、被災地の地デジ移行が延期されたことを思い出した。
授業で、時々ビデオを見せることがあった。ブラウン管式テレビにビデオテープレコーダーVTRの時代もあった。家で高校講座や科学番組などを録画して、学校の29インチのブラウン管テレビで見せた。20年くらい前37インチのブラウン管式テレビが設置されたが、もの凄く重くて80kgくらいはあったと思う。
VTRからDVDレコーダーの時代になった。テレビチューナー付きPCで録画し、DVDディスクに焼き付けた。授業で見せるため安価なDVDプレーヤーも買った。しばらく使わないでいたら電池が液漏れしてリモコンが使えなくなり廃棄した。
今の学校には、液晶ディスプレーの50インチ以上が多く設置されている。中には65インチの電子黒板などもある。普通教室にはプロジェクターとスクリーンが設置されている。
若者はテレビではなくインターネットで動画配信サービスを良く見ると聞く。少し前までは子どもがなりたい職業の一番人気がユーチューバーだったように思う。ユーチューバーの収入だけで生活していくのは相当厳しいとも聞いた。若い人が見るスマホでは画面が小さすぎてその気にもならなかった。
コロナ禍により、オンライン授業のために学校のWi-Fi環境の整備も加速されたように思う。PCやタブレットでインターネットを使って、高校講座などを見せられるようになった。せっかく買い直したブルーレープレーは使わずじまいになってしまった。
我が家のテレビは一応4K対応だが、BS契約はしていない。今では熊本でも民放4局になり、相当な番組数である。BSや4Kの番組は見られなくてもあまり気にならない。
長いLANケーブルを買ってルーターと繋いだら、専用のソフトが入っていて動画配信やテレビ配信サービスを利用できた。NHKや民放の見逃し配信なども時々見るようになった。有料で観るつもりはないので、無料しか利用していない。録画用に外付けHDもつけたが、動画配信だけで事足りるのでほとんど使っていない。
少々困っているのが、NHKは字幕放送に対応しているのに民放の動画配信は字幕放送に対応していないことである。音声だけでは分からない言葉が多々ある。我が家のテレビでは動画配信速度を変えることできないようだ。PCは画面は小さいが、速度変化ができるものもある。CPU性能やそれに対応するソフトの関係だろうか。
ユーチューブで「ゴットタレント」を時々観ることがある。BGT(Britain's Got Talent)やAGT(America's Got Talent)である。スペインやオランダそしてウクライナなどのヨーロッパの各国やアジアでも同様の番組がある。ついに今年は日本でもJGT(Japan's Got Talent)までも開催された。
オーディション番組で、歌、マジック、踊り、アクロバット、腹話術など何でもござれである。スコットランドの歌手スーザン・ボイルが日の目を見た番組でもある。地味で田舎っぽい中年女性が歌い出すと、観客は息をのみ感嘆のため息に変わった。
審査員と出場者との会話は英語であるが、単語がたまに分かるくらいで、イギリス英語でもアメリカ英語でも聞き取れない。日本語字幕が無いものもあるが、付いたものを選んで観ることになる。欧米の出場者はほとんど英語でやりとりができる。日本人の出場者もいるが、英会話ができる人は少ないようだ。
英語ではStand Up Comedyとなっていたようだが、漫談の出場者もいる。会場では大受けしているが日本語字幕を見ても面白さが伝わってこない。ジョークは国や言語によって笑いの壺が随分違うものだ。
年は取っても好奇心を持ってテレビ放送や動画配信を視聴していきたいが、文字を通して頭の中で想像できる読書もしていきたい。
(熊本教育ネットワークユニオン true myself)