熊本教育ネットワークユニオン

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「栄養」という科目

 熊本県の教育課程を調べてみた。「栄養」という科目を履修している学校はどこがあるだろうか。教育課程表が公表されていない学校も多く詳細は不明だが、慶誠高校、翔陽高校、菊池女子高校の3校で見られた。

 教科書は実教出版の一社のみが制作している。従って、実教出版の内容が「高校の栄養」の水準である。

私から実教出版

・p16の図3を含む説明で、解糖系・クエン酸回路がありますが、電子伝達系についても言及すべきではないかと思いますがいかがでしょうか?
「日本人の食事摂取基準2020」の部分(p66~77)がわかりにくい。例えば、⑥ビタミンB1ビタミンB2ナイアシンの部分ですが、尿中排泄量内のB1(B2)の量の変化から、(科書記述は「急に増え始めるときの摂取量をもとにして、それぞれの推定平均必要量が求められた」)とあり、そのあとにナイアシンの記述があり、さらにそのあとに、「ビタミンB・Bナイアシンは,いずれもエネルギー代謝に関与するビタミンであるため,エネルギー摂取量1,000kcalあたりの必要量に,身体活動ベルⅡの推定エネルギー必要量をかけて,推定平均必要量が示された。」とあります。「推定平均必要量」はいったいどのようにして求めているのかが、この科書(1社ですからこの科書しか使わないのですが)を学ぶ高校生が、この記述ではとても理解できるとは思えないと考えますがいかがでしょうか。
貴社の益々の発展を期待いたします。

実教出版から私へ

平素より、弊社発行の教科書・教材類につきまして格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

実教出版で「栄養」の編修を担当しております〇〇と申します。

先日は、「栄養」準教科書につきまして貴重なご指摘をくださりありがとうございました。

著者の先生に問い合わせをいたしましてお返事がありましたのでご回答申し上げます。

(ご指摘内容①)

p16の図3を含む説明で、解糖系・クエン酸回路がありますが、電子伝達系についても言及すべきではないかと思いますがいかがでしょうか?

(ご回答①)

ご執筆の先生にお伺いしましたところ、生物などでは電子伝達系について学ぶかと思いますが、家庭科の栄養で高校生が代謝を学ぶ際には、電子伝達系にまで触れる必要はないと考えています

とのことでした。

また、令和6年度に新刊の「栄養」を発行予定なのですが、現在発行している「栄養」は、アンケートなどでも家庭科の基礎科目「家庭基礎」「家庭総合」や「フードデザイン」に比べて難しいので分かりやすくしてほしいとのご要望があったため、

全体的に内容をやさしくする方向で編修を行いました。新刊の「栄養」でも電子伝達系は扱わない予定でございます。

(ご指摘内容②)

「日本人の食事摂取基準2020」の部分(p.66~77)がわかりにくい。

例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシンの記述が高校生に理解できるとは思えない。

(ご回答②)

「日本人の食事摂取基準2020」の記述について、

先生からのご指摘のとおり、例えば、ビタミンB1、B2、ナイアシンの記述については、説明不足で高校生には難しい記述になっております。貴重なご指摘をくださりありがとうございます。

新刊「栄養」が来年度から発行されるため、現在発行している「栄養」の記述の修正は難しいのですが、新刊「栄養」では内容をやさしくする方向で編修を行ったため、食事摂取基準についてのページ数を減らし、より簡潔で分かりやすい記述になるよう留意いたしております。

食事摂取基準につきましては、説明を詳細にしすぎても難しくなってしまいますし、簡潔にしすぎても説明不足で理解しにくくなってしまいます。

例えば、ビタミンB1、B2、ナイアシンの解説は、本文での説明を簡潔にして側注で説明を補う予定です。

新刊が発行されましたら、お気づきの点などをご指摘いただけましたら幸いでございます。

今後ともご指導くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

とても丁寧に対応していただいた。納得できたわけではないが、誠意のある回答には頭の下がる思いだった。

 それにしても難解だ。生徒には「今学んでいる「栄養」の内容は日本の高校で最高水準だよ」と言っている。