秋の幻想
青い空から黄金色のものが降りそそいで、そよめく風と小枝を透かして色鮮やかな森の舞台で戯れる時、私の心は気ままな空想に満ち溢れ、翼をいっぱいに広げて奔放に飛び立ってしまうのです。
天光の豪華なシャンデリア
華美と絢爛が花を咲かせた
ここはロココの宮殿の大広間
見えますか
金銀で着飾った男たちの澄ました顔や
羽飾りの帽子に欲望を隠した女たちの眼ざしが
聞こえますか
磨き上げられた水晶のように
管弦のリズムが清澄に響きわたるのが
さあ、私たちも舞踏の列に入りましょう
この明るさの中で手を取りあえば
やさしい光と旋律が
甘い夢の中へいざなってくれるでしょう
人を酔わせる宝石も
また香水も私にはなく…でも
あなたの影が私の目に映るなら
恋人よ、それこそがあなたの王宮
しかし、この舞曲はすぐに途絶えてしまう。あなたの前に木の葉が舞い落ちるより早く。あゝ歓喜の夢は煌めき、そして儚い。過ぎ去った日々の思い出と悔恨を残して、澄みきった水晶のような秋が、私たちの上で砕け散っていくでしょう。
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〇10年ほど前、九州脊梁山地、標高1300~1600メートルの山々を訪れた時の 印象です。ツガやモミの常緑とブナやカエデの紅葉のバランスが絶妙で、泣きたくなるような風景が広がっておりました。(モーツァルト、交響曲第35番ニ長調「ハフナー」の第3楽章メヌエットをイメージして書く。)
〇山へ入るたびに感じます。登山ができるのも平和があってこそ、環境が守られてこそである、と。この美の世界はごく限られた地域の、特定の時期だけのことかもしれません。だからこそ私たちは、地球が残してくれたこの貴重な財産を守り継いでゆく必要と義務を感じます。
~オウシャン・セイリング~