じいちゃん業務
保育園児の孫を迎えにいくと、先生さようならをしない。もう一度先生がやり直しを促れると渋々礼をする。なんだか怒っているのである。ゴミ箱を蹴ったり職員室の外から先生に悪態を見せたり掲示板を叩いたり、怒られない範囲でのうさばらしをしているようだ。なんとか車に乗せたが、シートベルトをさせるのにしばらくかかる。「どうしたのか。なにかあったか」と聞いても、それには答えず車のあちこちを蹴る。送風口を動かしまくる。しかし、ハザードランプのボタンは押さない。絶妙に避けている。(以前、これが押されていて、バッテリーがあがり、この孫の親からバッテリーコードを買ってきてもらったり大事になった。なにも言わなかったが、あるいはこの孫が押したからかもしれず、またああなったらいけないと考えていたのかと、邪推もした)。いやあそこまでは迷惑かけられないという配慮か。年長バラ組ながら天晴。
やっとシートベルトしめて車を発進。「じいちゃん本を返したいけん、図書館に行ってもよかか」「だめ」やはりそうきたか。家につき、「じーちゃんは、本返しに行くけん待っとけよ」「怖い」そういうだろうと思っていた。孫のせたまま図書館に。つくと、いやいやながら車をおり、ついてくる。一人は怖いからなのだ。本を返そうとしていると、カウンターの中に入ろうとその隙間にたたずんでいる。「そこにおるといかんばい」司書の方も「そこはダメですよ」しかし、そこを動かない。せい一杯の腹いせなのだろう。自販機の前で「そんな怒るな。ジュース買ってやろか」完全無視。
家に帰ると「じいちゃんのせいで、ユーチューブする時間が少なくなった」。待ってました「だけん、保育園で、図書館にいくかと聞いた。だめと言ったろう」いや、すぐ行ってもそんなに時間変わらないが、わずかな時間でも、「だめ(すぐいかない)」と言ったことは後悔しとるなあ。
流石に黙り込んでユーチューブにとりかかる孫であった。
恐怖が人を動かすということなんだと、実感した日だった。
次の日迎えにいくと、ニコニコしている。「踊りができるようになった。きみちゃん(仮名)が教えてくれた。」孫悟空の分身になる踊りと言う。それにプラスして、「昨日はそれがイヤだった」お、優しい孫である。