5月のラプソディ(短詩の習作3編)
(1)
木々は緑を滴らせ、花々は繚乱と咲き誇る
この季節、自然の世界を写すには
多くの色をパレットに並べなければならない
だが、俺の鬱屈を写すには
100枚ものキャンバスが必要となるだろう
(2)
西風の激しい息遣いに、野の花々が大騒ぎしていた。右へ傾き、左へ靡き、身を反らせたり屈んだり、100万回もお辞儀をしたりした。過酷な仕打ちを耐え忍ぶというよりそれは、少々荒い風の抱擁に、陶然としているようにも見えた。野に生きるものたちは無用に抗うことをしない。受け入れることが、すなわち生きることなのだ。美しさとはこんな強さのことをいうのであろうか。
人の心は容易に折れる。争ったり抗ったりしていつも疲れている。尤も、立ち直ることができるのも人の心ではある。
(3)
ある時ふと、俺は
大事なものを失くしてしまったことに気づく
昨日までは確かに手の中にあったはずのものを
いったいどこに置き忘れたというのか
遠くで何かが手招きしている
だが、容易に近づけない
はたしてそれが、俺の求めているものであるかどうか
俺は焦る――
しかし明日には、そいつはとぼけた顔をして
そして幾分着飾って、ふいと俺の前に現れたりするのだろう。
~オウシャン・セイリング~

阿蘇のスケッチ(水彩画) 本文とは関係ありません