熊本教育ネットワークユニオン

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学級-助け、助けられ、はげまし、はげまされる固い協力の場-

  中学校教員をしていた父のことを調べる中で、『友愛』という文集を見つけた。表紙は右のようなものである。地球儀をはさむ6つのイラストはクラス内の各グループを表している。昭和39年5月28日が父の命日であり、その二ヶ月前、担任をした2年生のあるクラスがを進級したときの文集である。

    私は高校に勤め、クラス担任を何回も担当した。特に退職前の10年はほとんど毎年担任を希望した。いつの頃からか、進級文集や卒業文集を作成させてきた。その文集が、全体的な傾向として年を追うごとに「稚拙」なものとなっていったことに気づいていた。受験勉強等のために時間がないという理由はあるだろうが、アンケートの形式などの安易に流れる傾向に残念な気持ちを持っていた。何とか文集はできたと「自己満足」を持っていた程度でしかない。

 父が担当したクラスの文集は、中学二年生の文集でありながら、私のそれと、二つの点で決定的に違っていた。

 一つ目は、グループ文集の形をとっていることである。1年間の班を中心としたクラス活動の集大成として文集を作っていることだ。二つ目は、文章に長短があるものの、生徒一人一人が、「私のこと」、「班のこと」、「クラスのこと」のいずれかを書いていることである。

 私は、定年退職しこの文集を発見し読んだ私は、ショックで暗い気持ちにさえなった。とうとう父を超えられなかったと…。(今までは、同業とはいえ、比較の対象としたことがなかった。)

 彼の総括ともいえる文集の「あとがき」をそのまま書き写す。(原文は縦書き)

 立派な文集ができてうれしいと思います。去年の四月みんなと一しょになってから早くも一年たったかと思うと感無量なものがあります。二年生になりたてのまだ無邪気な子供らしささえ残っていたみんなでしたが、いまはもう隈中をしょって立つ三年生になる堂々たるものをそなえて来ました。

 この一年、私はみんなにグループ活動をやってもらいました。はじめはとまどったみんなでしたが、私は強引にやってしまいました。しかし、文集の中でも示しているようにみんなが自分を率直にかたり、級友を正しく理解しようという目をひらいてこれたのは、グループ活動の成果だと思っています。またこのような全員の文集が出きたのも学級内のグループ組織があったからだと思います。学級新聞一つ作るにも苦労した私たちがグループ組織を活用し協力すればこのような文集さえ作れるということは将来の私たちに協力の偉大さを示しているのではないでしょうか。

 クラスを解体しみんなと別れることは私自身にとってもさびしい感がしますが、今年はそのさびしさの中にもいいクラスだったという満足感と更に、君たちが四月から新しい学級でどのように活躍していくかと考えると楽しい期待さえ湧いてきます。三年生の現実はきびしい。そのきびしさを克服するにはこの文集を作り上げた以上の助け、助けられ、はげまし、はげまされる固い協力が必要です。みんながんばって下さい。               

                           (名前(省略))

  学級を「助け、助けられ、はげまし、はげまされる固い協力」をつくるものとし、その実現のために「自分を率直にかたり、級友を正しく理解しようという目をひらく」ことを実践を通じて学ぶ場をつくる。私にはやれなかったことだった。

                                     2013年4月4日(木)(この文を書いた日付=父の50周忌)

 

ICT教育を始め、激しい変化の中で、「助け、助けられ、はげまし、はげまされる固い協力」ができる学級活動をめざし日々奮闘しておられる学校に勤める関係者にエールを送りたいと考えこの文を掲載します。      (Kob)

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