熊本教育ネットワークユニオン

活動の報告と相談の窓口です。またブログ担当者の学習の跡でもあります。過去の記事をご覧になるときは下のメニュー欄をクリックください

MENU

司法は「最後の砦」たり得ているか!!

司法は「最後の砦」たり得ているか!!

 

    あべ広美弁護士が弁護をしている「生活保護費打ち切り取り消し」を求める裁判は、熊本地裁で勝訴したが、昨日、福岡高裁での敗訴が報道された。

 長洲町に住み生活保護を受ける70代のご夫婦は、同居する孫が准看護学校に進学するために「世帯分離」の手続きを取った。学びを深めた孫は、准看護師の資格を取得し病院で働きながら看護師資格を目指してがんばり始めたが、熊本県は、増えた収入を老夫婦の世帯の分と認定して、生活保護を打ち切ったというもの。

 一審での勝利は当然と思っていたし、二審での勝利も間違いないと思っていたが、さにあらず。司法は弱者を救わない。「貧困の連鎖を断ち切る」という政府の、いや「三権」の本気度が問われているのではないか。

 

 一方、東京都世田谷区では、「生活保護世帯でも大学進学を」と、区独自で給付型奨学金を支給することを決め、2024年度予算に3180万円を計上した。世帯分離の場合1世帯一月あたり4万円ほどが減額され、学生が自分で生活費を稼ぐ必要があるが、それに見合う奨学金を支給するというもの。

    厚生労働省の調査によると、2020年の全世帯の大学等進学率は76.2%、生活保護世帯は42.4%だという。世田谷区の対象人数は約60人分。区の奨学金はアルバイトや貸与型奨学金で賄われる平均約50万円に相当するという。成績要件はなく、中途退学でも返還は不要だ。

 世田谷区長は、国会の質問王と称された元社会党衆議院議員憲法を暮らしに活かし、市民が主人公の政治を実践している。首長が違えば政治は変わる。政治が私たちの暮らしの、こんなにも身近にあることを教えてくれる。

 電気館では「〇月〇日 区長になる女」が上映中。行かねば。

 

 一昨日は、水俣病第二次国賠訴訟で熊本地裁は原告敗訴を言い渡した。裁判官は不知火海を船上から視察したそうだが、いったい水俣の何を見たのだろうか。時間や地域に線引きすることも許せないし、「あなたは水俣病だと認定するけれども訴えが遅すぎたネ」という判決には言葉を失う。

 三権分立と言うが、三権すべてがあらぬ方向を向いて分立しているのであれば、もはや民主主義国家の「ミ」の字もないのではないか。 

 

 今日は熊本県知事選挙の投開票日だ。

 

                         (Trout 2024.3.24)