岩の上の孤独
汗ばんだシャツを着替え、木立に囲まれた岩の上で質素な弁当を広げた。かすかな寂しさ、侘しさを感じる。一人ぼっちの山歩きは珍しいことではないのに、なぜこんな寂寥感に捕らわれるのだろう。樹林の静寂のせいなのか、それとも晩秋の風のせいなのか。名状しがたい孤独感。だがこの空間と時間はまぎれもなく私一人に与えられたものである。
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私は知っている
宇宙の中を
光は永劫に走り時間は永劫に流れることを
光はやがて道となり時間は星となる
しかし私は知らない
その光と時間がいつまで自分のものであるのかを
風は、雲は、音は、
そのときどきを生きるほかないだろう
そのように私もまた刹那に生きるほかないだろう
なぜなら
私につきまとう影法師がたえず囁きかけるのだ
「旅人よ、お前も偶然の生き物であるにすぎない」と
私はおそらく不用意に扉を開けてしまうだろう
その時
怒りと悲しみを脱ぎ捨てて
私の影は空を駆けるだろうか
風に舞う蝶たちの恍惚そのままに
~オウシャン・セイリング~