2024年3月2日朝日新聞からです。
▶この新聞記事を授業で取り上げようとした。日本人の塩分の取りすぎは「日本人の食事摂取基準2020」にもある。いきなり減らすことができない。耐容上限量は設けず、目標量を定めている。推定平均必要量は食塩で1.5g/日と「推定」している。
▶ そこで https://www.ncvc.go.jp/karushio/s-1g/2023/s-1g_6415/ に上記新聞記事の「S-1g大会」が開催され、国民の健康(塩分摂りすぎ)に関心を持つことを促しているのだろう。「参加を呼びかけようかなぁ」とかおもいつつ・・。
国立研究開発法人国立循環器病研究センター(主催) 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(共催)で 「S-1g大会」(エスマイナスイチグラムタイカイと読むと思ったらエス・ワン・グランプリということ)が10年前から開かれているそうだ。今回は第6回だったとか。
▶そこで私は「そもそも、日本人はなぜ「塩」が好きなんだろう」という疑問がわいてきた。色々調べると、日本人が「農耕」を主とすることに起因することのではないかと記してあるのもあった。そして、驚くべき次の論文(解説文)に出くわした。
一般に農耕民族は牧畜民族に較べ高値の傾向があるが,日本人のそれは特に片寄っているわけではない。同調査では未開発の特殊地域を除き,文明諸国においては食塩摂取量と血圧との間に相関はないことを明らかにした。それ以前の局地的な調査研究も食塩摂取量と血圧との間に明確な相関を示した研究はほとんどなく,約50年前に米国の研究者が出した不充分な資料,それに基づく高血圧の食塩説を裏づける疫学的データは,その後得られていないと言える。(引用)
以上は静岡県立大学の星猛氏が醸造協会の学会誌『醸協』に1995年に、「平成6年7月21日第80回醸造調味食品セミナー講演要旨」として書かれたものの中の文である。この論文の冒頭は、次のように、この講演を協会が依頼した理由の記載となっている。
1979年日本人の食塩摂取量は1日10g以下が望ましいという国の基準が示されてすでに久しい。この間食塩摂取量と血圧との関係についての疫学的調査もいくつかなされ,とくにIntersalt Studyという国際的規模の調査結果は従来の定説を覆すようなものとなった。これらの問題を含めて表題のような解説をしていただいた。
つまり、国際的には、あるいは学問の世界では「食塩摂取量と血圧との関係についての疫学的調査」では相関関係は???ということだ。
「Intersalt Studyという国際的規模の調査結果」のさわりの部分のグラフを引用しよう。
新聞・TVそして教科書、私の最も信頼する『日本人の食事摂取基準2020』では、「食塩摂取量と血圧との関係」については、「定説覆す」疫学調査の存在は感じることがなかった。つまり「塩分の摂りすぎ=高血圧」を信じ込んでいた。
勉強不足を恥じつつ、もう少し調べてみたい。
(kob)